<楽天1-0中日>◇2日◇Kスタ宮城

 指揮官の我慢がやっと実を結んだ。楽天菊池保則投手(23)が、5回1/3を4安打無失点で今季初勝利を挙げた。昨秋キャンプから星野仙一監督(66)の“指定強化選手”として期待されたが、今季先発した4試合で全敗。背信投球を続けた6年目右腕が、ようやくチャンスをものにした。チームは継投で1点差を守り、1日で交流戦首位に返り咲いた。

 固い握手だった。星野監督は今季初勝利を挙げた菊池をベンチ前で出迎えた。手を握ると同時に、愛情を込めて左手で頭をはたいた。「良かったな」とねぎらいの言葉もかけた。今季、先発起用した4試合で4連敗。何度も裏切られたが「腹を据えてじっと我慢しました」と見捨てなかった。

 最も期待する右腕だった。昨秋キャンプで命名された「AKB闘将ファイブ」のメンバーの中で“センター”に選ぶほど、戦力として計算に入れていた。不振の釜田、美馬らには2軍調整を命じた一方で、結果が伴わなくても菊池だけは1軍に残し続けた。「素質」を評価したからだ。「直球の質、回転だけなら田中と見劣りしない」(森山投手コーチ)という直球の力強さが魅力。そこに懸けた。

 指揮官の思いに菊池もやっと応えた。これまではコースを狙いすぎ、四球を連発する傾向があった。この日は「キャッチャーミットだけではなく(投げるゾーンを)広く、その分強いボールを投げる」と意識を変えた。「力強い直球」という長所を存分に発揮。四球は2つにとどめ、「ずっと足を引っ張っていたので、いいピッチングができて良かった」と胸をなで下ろした。

 菊池の投球を、ベンチもバックアップ。6回1死で降板させ、救援4投手の継投に踏み切った。星野監督は「あいつが出てくれなきゃ。(シーズン)中盤、後半で連戦、連戦になってくるから」と意図を明かした。本当の勝負とみる8月以降に向けて、勝てる先発投手を育てるためだった。「先発に勝たせてやりたい」という思惑通りになった。

 チームは1日で交流戦首位に返り咲いた。菊池は「交流戦優勝を目指し、チームに貢献していきたい」と抱負を口にした。球団初のタイトルへ。戦力となり得る右腕が加わった。【斎藤庸裕】

 ◆菊池保則(きくち・やすのり)1989年(平元)9月18日生まれ。茨城県大子町出身。常磐大高3年夏は茨城大会準優勝。07年高校生ドラフト4巡目で入団。3年目の10年9月、西武戦で初登板初先発で初勝利も、11年、12年と1軍定着ならず。昨秋キャンプでは、戸村、塩見、辛島、釜田とともに「AKB闘将ファイブ」と命名され、連日、星野監督のノックを受けた。愛称「キク」。180センチ、80キロ。右投げ左打ち。推定年俸720万円。