<楽天2-1中日>◇3日◇Kスタ宮城
打った瞬間、楽天嶋基宏捕手(28)は右手を突き上げた。同点の11回1死満塁。中日武藤の直球をとらえ、低いライナーで二塁手の横を抜いた。サヨナラだ。内野グラウンドを縦横無尽に走った。仲間からの水掛けも目いっぱい浴びた。「言葉に表せないくらい最高です」。お立ち台で興奮しながら言った。
決着がついたのは午後9時41分。「本当なら皆さん8時半に帰っておいしいお酒を飲めるところが、1時間延びてしまいました。気をつけて帰って、また明日も仕事頑張ってください!!」と、ユーモアたっぷりに呼び掛けた。9回に追いつかれ、その裏、2死一、二塁のチャンスで嶋は三振。「最後は自分で決めようと思ってました」。何が何でも打ちたかった。
人一倍の志がある。田代打撃コーチは「チームで一番貪欲だな。他の打者を指導してても、何を教えてるのか聞いてくる」と言う。5月31日から3試合無安打が続き、嶋は試合前に志願して早出特打を行い、タイミングの取り方を修正。左足の上げ方を変え、この日のサヨナラ打につなげた。
守りでも貪欲。昨季、盗塁阻止率は1割8分2厘(リーグ6位)だった。それが今季ここまで3割3分3厘(同2位)。三輪バッテリーコーチの指導もあり、キャッチボールから球の回転を意識。ボールの軌道がスライドする癖を直し、真っすぐに修正した。二塁へのストライク送球で投手を何度も救っている。
大黒柱がどっしりしているからチームは強い。星野監督は嶋のサヨナラ打に「その前(9回)に打っておけば良かったけど、いい当たりしたよね」と目を細めた。2連勝で交流戦首位をキープした。嶋は「あと少し、優勝できるチャンスがあるので優勝目指して頑張ります」。頂は少しずつ見えてきた。【斎藤庸裕】



