日本野球機構(NPB)は3日、「マツダオールスターゲーム2013」(7月19~22日)ファン投票の第1回中間発表を行い、セ・リーグ先発投手部門で阪神藤浪晋太郎投手(19)が1万2325票を集め、広島前田健、巨人菅野らを抑えてトップに立った。中間発表は土、日曜日を除く17日まで行われ、24日に最終結果が発表される。

 ファンもリーグを代表する投手と認めてくれた。藤浪には試合前の練習中に朗報が届いた。堂々のセ・リーグ先発投手部門1位。2位の広島前田健には1000票以上の差をつけた。マウンドでどんな大物打者と相対してもひるまない右腕が、謙虚に喜びを表した。

 「実力に比例してない結果だと思いますし、中間発表なのでなんとも言えないですが、それだけ多くのファンの方に投票していただけるのはありがたい。もし出場できるのであれば、ファンの方の期待に応えられるようなプレーをしたいです」

 高卒新人投手がファン投票で球宴に選出されれば阪神球団はもちろん、セ・リーグでも初のこと。虎では監督推薦を入れても、高卒新人投手の球宴出場は67年の江夏までさかのぼる偉業だ。藤浪がイメージする球宴は「お祭り的な要素もあると思いますし、トップレベルの人ばかりが集まるので、真剣勝負という意味もある」。さらに「勉強になると思います。いろんなことを聞きたい」。他球団のエースたちとの交流にも目を輝かせた。それも、夢舞台での経験が、またひと回り自らを大きくさせてくれると自覚しているからだろう。

 この日はソフトバンクの王貞治球団会長とも対面を果たした。練習から引き揚げる際、ベンチ横で握手し、あいさつを交わした。王会長には「昨日(2日)はナイスピッチングだったね。背が高いね」などと声をかけられた。通算868本塁打のずばぬけた記録を持つ「世界の王」にも、6回途中2失点で降板したとはいえ、前日のピッチングは強烈な印象を残したに違いない。高校時代から甲子園無傷の12連勝など伝説を築き続ける右腕。さらに球宴出場でもファン投票で選出されれば、球史に新たに名を残すことになる。

 ファン投票は16日まで続く。好投を続け、セ・リーグ初の快挙をたぐり寄せる。【山本大地】◆新人のファン投票1位

 新人が最終結果でファン投票1位となると09年中継ぎ部門の摂津(ソフトバンク)以来4年ぶり。高卒新人投手の1位は54年梶本(阪急)62年尾崎(東映)70年太田(近鉄)99年松坂(西武)07年田中(楽天)がおり、藤浪が1位となると6年ぶり6人目。セでは初となる。高卒新人野手のファン投票1位は一塁手の55年榎本(毎日)71年島本(南海)86年清原(西武)と遊撃手の88年立浪(中日)の4人で、外野手はファン投票だけでなく、監督推薦を含めても出場した選手がいない。