<巨人4-2日本ハム>◇6日◇東京ドーム

 頭をガクッと下げ、体を折り曲げた。逃げ切り勝利目前の8回。石井裕也投手(31)が膝に手をついた。1秒、2秒、3秒…、約10秒間。現実を受け入れられず、マウンドで固まった。痛恨の連敗。借金は、また今季最多タイ10まで膨らんだ。失意の栗山英樹監督(52)は試合後、登場するなり目を充血させ、強烈な敗戦の弁を発した。「ヘボ監督、以上!」。細かな敗因について語る時、5度も“ヘボ監督”と繰り返すほど後味悪かった。

 悪夢再現だった。昨年11月3日、日本シリーズ第6戦。同点の7回2死二塁。明暗を分けたシーンと同じく石井VS阿部だった。決勝の中前適時打を浴び、日本一の夢が断たれた。この日は8回2死二塁、一打同点のピンチ。坂本へ2ボールと打者有利のカウントになり、ベンチが動いた。指示は勝負を避けての敬遠気味の四球。阿部を迎えての局面に変化した。

 「日本シリーズのことを思い出していたよ」。栗山監督がフラッシュバックした直後、最悪の展開へ向かった。ベンチ、バッテリーも無警戒だった初球。鮮やかに重盗を決められた。この時点で、日本シリーズ時と同じく敬遠の選択肢も考えられた。だが守護神・武田久が離脱中など中継ぎ陣は手薄。石井はトップクラスの信頼度があり、続くロペスも2回に本塁打を放っていた。総合的な判断でまた石井に託し、散った。

 重い2夜連続の黒星になった。栗山監督は「あそこで打つ『アベシン』だよね」。そう相手主砲を立てたが「申し訳ない、ただひたすら…」と言葉に詰まった。石井も「僕の力負け」と、潔く頭を下げた。尾を引きそうな、収穫なき激闘だった。【高山通史】