<阪神2-1西武>◇6日◇甲子園
サーベルを鳴らすのはジェット・シン、勝利の鐘を鳴らすのはツヨシ・タカシだ。サヨナラから一夜明けての速攻先制。倉敷でサヨナラ打の西岡が1回先頭で中前打。1死二塁とし、阪神3番鳥谷敬内野手(31)がサブマリン牧田のカーブをガツンとたたき、右翼線を破る先制二塁打だ。以心伝心の1、3番、元気があればなんでもできる!
まだ明るい甲子園に快音が響いた。1回1死二塁、カウント1-1、鳥谷が西武牧田の投じたカーブに反応した。強烈な打球が右翼線を襲った。電光石火の先制劇。この1点が9回サヨナラへとつながった。
「高めに浮いてきたカーブを逃さずに打つことができました。(牧田を)攻略ということではないけど、最後、マートンが決めてくれてよかった」
本人はさらりと振り返ったが、ハイレベルな打撃だった。「あれは真っすぐを待って、カーブに反応している」。ベンチから見つめた水谷チーフ打撃コーチはこう分析した。牧田に対し、打線はストレート狙いを基本方針に立ち向かったという。事実、先頭西岡は直球をセンター前へはじき返した。その上で鳥谷は、緩急でタイミングを狂わせる牧田の生命線を打ち砕いた。
難攻不落のサブマリンは3月、WBC日本代表としてともに優勝を目指した戦友でもある。ストッパーを任された牧田がマウンドに立ち、鳥谷がその後ろを守っていた。世界の強打者がまったくタイミングを取れずに苦しんだ牧田のボールを完璧にとらえた。
6回には、またも変化球を引きつけて、左前へ運んだ。3試合ぶりのマルチ安打。虎の「夏男」は気温とともに上昇気配だ。さらに今季は新たな工夫も取り入れている。2月、WBC日本代表の合宿時に楽天松井から教えられたことがある。刃がプラスチック製のスパイクを履くと疲労が軽減される-。
「今は試合でも使っている。松井さんに聞いたら、足の負担が軽くなるって言っていたから」
現在は主に人工芝対策として使用している。飽くなき向上心が細部へのこだわりを生み、プレーのレベルを上げる。夏本番へ、ヒートアップ間違いなしの巨人との首位争い。主役になるのは鳥谷だろう。【鈴木忠平】



