<阪神3-1ロッテ>◇8日◇甲子園

 虎のエースがセ界のセンターに躍り出た!

 先発能見篤史投手(34)が9回1失点でリーグトップタイの6勝目や。4完投はリーグ断トツの活躍。虎党総占拠の「HTK(阪神タイガース甲子園球場)劇場」が熱すぎる~。

 まるで高校野球のエースだ。能見が1人で投げ抜き、ハーラートップタイの6勝目を挙げた。緩急がさえた。「藤井さんがしっかり配球してくれたので」と、キレのある直球にカーブやチェンジアップをふんだんに使い、ロッテ打線に的を絞らせない。9回を投げきり、許した得点は3回根元のソロ本塁打による1点のみ。わずか103球で2戦連続完投を成し遂げた。

 それでも、試合後の第一声は「疲れました」。無理もない。投げるだけでなく、バットでももがく。安打こそ出なかったが、野手顔負けのフルスイングだ。

 5回先頭の打席。2球目を強打すると、打球は右翼ポール際へ。「惜しかったですね。たまたまですけど」。わずかに切れ、ファウルになるとスタンドからは「ホームラン、ホームラン、能見」のコール。5月にプロ初本塁打している「スラッガー」に球場のボルテージも最高潮だ。最後のマウンドに向かう直前も気合十分。8回の攻撃時。ヘルメットをかぶり、ベンチで出番を待った。2死満塁で打席が回ると、またも直球を捉える。中飛に倒れると悔しそうに空を見上げた。「なかなか難しいですね。打点がちょっと少ないので」。高校野球さながら、自分が打ってでも点を取る、という強い意志がにじみ出た。鳥取城北時代には届かなかった舞台。2年秋は中国大会4強に入るも、センバツには選ばれなかった。3年夏は2回戦敗退。当時の気持ちが乗り移ったかのように、投げて、打って、がむしゃらにプレーした。

 4完投はリーグ断トツ。リリーフ陣にとっても心強いエースだ。この日は「筒井が(休みだと)言ってました。いつか投げさせてやろうと思います」とジョークで応酬した。

 能見が投げればチームは6連勝。前回の1日オリックス戦での金子との投げ合いに続き、今回も成瀬との対決に勝利だ。和田監督も「エースの投球だった。エース対決が多いけど、最少失点に抑えていつもゲームを作ってくれる」と称賛。巨人とのセ界首位争い、その中心に座るのがエース能見だ。【山本大地】

 ▼阪神能見が5連勝でメッセンジャー、巨人菅野と並びリーグトップタイの6勝目を挙げた。6勝のうち完投は4でオリックス金子と並び両リーグトップ。能見の最多連勝記録は09年9月25日中日戦(ナゴヤドーム)から11年4月12日広島戦(甲子園)までの12連勝。また11年10月5日ヤクルト戦(京セラドーム大阪)から12年4月13日中日戦(甲子園)まで6連勝している。