<巨人3-5楽天>◇9日◇東京ドーム

 楽天田中将大投手(24)が自身初の開幕8連勝を飾った。巨人戦に先発し、7回3安打無失点。1回1死満塁のピンチを招くなど本調子ではない中、2回以降許した安打は1本。丁寧にコースを突いて、味方の好守を引き出す投球だった。バットでは4回2死二塁から右中間に適時二塁打を放ち、3年ぶりの安打と打点を記録。球団初のタイトルとなる交流戦初優勝に向けてエースの役目を果たした。

 田中はベンチ前で恩人を待っていた。3回裏終了時だ。2死で巨人坂本のポップフライを二塁藤田が後ろ向きで好捕してくれた。帽子を取ると「助かりました」と深々と頭を下げた。巨人相手に7回無失点。8勝目には仲間の力が欠かせなかった。「藤田さんにたくさん助けてもらったのが大きかった」と再三の好守に感謝、感謝だった。

 立ち上がりから不安定だった。1回1死満塁のピンチはスプリットでロペスを三ゴロ併殺。何とか切り抜けたが、星野監督には「今日は一番悪かった」と厳しく評価された。それでも勝てたのは野手との“絆”があったからだ。

 2回2死二塁、二塁ベース左に弾む内海のゴロを藤田が好捕した。定位置なら中前へ抜けたかもしれないが「(内海には引っ張れる)内角には放らない。打っても、投手の頭を抜ける当たりぐらい」と、あらかじめ二塁寄りに守っていた。3回には先頭立岡の一、二塁間の強いゴロをさばいた。さらに2死で坂本の飛球。好守連発で田中をリズムに乗せた。

 実はその好守を、田中自身が引き出している。藤田は2回の内海の時のように、カウントや投げるコース、打球傾向などに応じ、微妙に守る位置を変える。投球が狙ったコースと逆に行けば裏目のリスクも当然ある。だが、「田中はコントロールが良い。思い切りをつけて守る位置を変えられる」(藤田)。逆球が少ないから、野手の好プレーも生まれやすい。

 もちろん、田中本人も工夫を重ねた結果の8連勝だ。6回、坂本への6球目。走者がいない場面だったが、クイックモーションで投げた。今季3度目の“サプライズ”に「(打者の)タイミングをずらす。それだけです」と明かした。登板前日はクイックの狙いを問われ「深くは言えません」と答えた。普段は質問にしっかり答える田中には珍しかった。作戦が巨人サイドに伝わることを避けたかったようだ。

 エースの好投で3年ぶりに交流戦勝ち越し。球団初タイトルの交流戦優勝も手の届く位置にいる。田中は「チームが1つになって、勝つことができた。そういう意味でこの勝利はでかいと思います」と“絆”の力を訴えた。周りの助けと、田中自身の努力が合わさった1勝だった。【斎藤庸裕】