<日本ハム3-0阪神>◇13日◇札幌ドーム

 日本ハム中田翔内野手(24)が、今季3度目のマルチ本塁打を放った。2回に右翼席へ10試合ぶりとなる14号先制ソロ。8回には左翼席への15号ソロでダメを押し、阪神メッセンジャーをKOした。飛びやすく変更していた統一球については「オレ、興味ないから」と話し、ボール効果でなくパワーであることを強調。チームは阪神戦4タテを阻止した。

 統一球の問題など、中田の脳裏にはなかった。「飛ぶボールでも、飛ばないボールでも、しっかり捉えればホームランになるんだから」。球界のモヤモヤを吹き飛ばすような豪快なアーチが2本、スタンドへと吸い込まれていった。「(2本目は)詰まっていたけど、僕の持ち前のパワーで持っていきました」。若き大砲は、お立ち台で照れながらも、自画自賛した。

 対戦通算打率5割以上と“カモ”にしている阪神メッセンジャー相手に、自信を持ってバットを振った。まずは2回の第1打席。初球の外角直球を逆らわずに、阪神ファンで黄色く染まる右翼ポール際へ10試合ぶりのアーチを突き刺した。「外中心に打ち取られることが多いので、コースに逆らわず打てたらいいなと思っていた」。試合前の打撃練習で、最も注意を払ってきた部分。今季4本目となる逆方向へのアーチに成長の手応えを感じると、止まらなくなった。

 4回に左前打を放つと、8回の第4打席は追い込まれてからの3球目、今度は内角直球を本拠地ファンで埋まる左中間へ。「いいポイントで打てたから押し込みも効いた」。4タコに終わった前夜から一転、今季身に付けた“気持ちの切り替え”という最大の武器が、生きた。

 球界を騒がす統一球問題を、グラウンドには持ち込まない。「基本、オレ、興味ないから。これまでと、何も変わんないよ」。日本野球機構(NPB)の隠蔽(いんぺい)体質に疑問を感じながらも、潔く本音を口にする。「1人1人、やるべきことをしっかりやればいい。逆に打者は有利に打席に立てるんだしね」。最下位に沈むチームの4番として何ができるか。今、背番号6が腐心するのは、その1点だ。【中島宙恵】

 ▼中田が2回に右方向へ14号、8回には左方向へ15号。中田の1試合2本塁打以上は5月17日DeNA戦以来今季3度目、通算では7度目になるが、右と左へ打ち分けたのは初めてだ。中田の15号到達は、最終18本の11年がチーム126試合目で、最終24本の12年はチーム108試合目。15本打つのに100試合以上かかっていた中田が、今年は57試合目で記録した。また、交流戦の本塁打は09年0本→10年0本→11年4本→12年5本→13年6本と、交流戦で6本は自身最多。