<ロッテ9-5中日>◇16日◇QVCマリン

 交流戦ラストゲームも逆転で締めた。リーグ首位の伊東ロッテが今季17度目の逆転勝ち。序盤に2度リードを許したが、持ち味の粘りで食い下がり7回に一挙5得点。この日が31歳バースデーだった大松尚逸外野手が代打で今季初打点となる勝ち越し2点適時打を放ち、遅ればせながらチームに貢献した。

 感動的なお立ち台のはずだった。2軍暮らしが長かったロッテ大松が、今季初めて打点をマーク。しかも、同点の7回2死満塁。記録は2打点だが、失策も呼び一気に3点を挙げる決勝の右前打だ。お立ち台のヒーローに、岡田と伊志嶺が手荒い祝福。シェービングクリーム・パイで、顔面泡だらけとなった。

 「いつか、こんな日が来ると信じて、2軍でもやってきました」。涙を誘うコメントだったが、顔面真っ白では締まらない。QVCのロッテファンは爆笑するしかなかった。

 しかも31歳の誕生日だった。白い顔のまま右翼席のファンから、歌の祝福を受けた。「忘れられない誕生日になりました。やっと一員になれたな。これがスタートライン」と言った。

 自分のいない1軍の試合をテレビで見ると「早く加わって戦いたい」と寂しい思いが募った。2軍での173打席を糧に「ジタバタしないで打席に立つ自信」をつかみ8日、約2カ月ぶりに1軍に帰ってきた。

 キャンプから4番候補と公言していた伊東監督も「よく大松が打ってくれた。背中を見て、打てそうな雰囲気があった」と喜んだ。力みからテークバックの左ヒジが上がるクセを、矯正ポイントと指摘してきた。修正を確認して1軍に呼び「構えの硬さがなくなった。このまま自信を持ってやってくれ」と声をかけた。実子からシャンプー・リンス・育毛剤のセットを、孝行息子、大松からは17度目の逆転勝利のV打をプレゼントされた伊東監督。これ以上ない父の日になった。【金子航】