<DeNA3-2中日>◇30日◇横浜

 DeNA中村紀洋内野手(39)が、プロ野球18人目の通算400号を放った。2回1死、中日山本昌から左中間席に運んで達成した。2-2の9回2死一、三塁からは今季初となるサヨナラ安打を中前にはじき返し、チームの連敗を2で止めた。5月に通算2000安打を達成したスラッガーが、節目の本塁打記録に自ら花を添えた。

 DeNA中村は一塁側ベンチ前で中畑監督と、そして中日山本昌とのセ・リーグ最年長対決を制した同学年の三浦と抱き合った。自分の記録はもちろんだが、チームと三浦に白星をつけたことがうれしかった。「チームが勝つことが最優先。体はあちこち痛いけど、そんなこと言っていられない。何とかクライマックスに行きたい」と、真剣な表情で言った。

 何かの因縁だろう。またマウンドには山本昌がいた。5月5日。2000安打を達成した日と同じだ。山本昌から記録したかったが2打席無安打。結局は中田賢から決めた。去年も5打数無安打で抑えられている。「今日は昌さんだったから開き直れたのかもしれない。あまり考えすぎずにストライクゾーンに来たら思い切り振ろうと」。

 フルスイングの原点を思い出した。前夜、自宅でビデオを見ていた時だ。「受け身になっているな…」。6月15日に9号を放ち400号に王手をかけてから、やはりホームランを意識していた。受け身とはボールを見すぎてバットが出なくなる状態だ。この日は今年初めて早出でティー打撃を行いチェックした。波留打撃コーチからも本塁打を放った後、「いいポイントで打てた」と言われた。差し込まれず前でさばくことができた。

 自分のスタイルは貫き通してきた。打撃フォームは新人時代からほとんど変わっていない。が、立つ位置だけは半足分だけホームベースから遠くなった。それも、もう12年も前の01年のことだ。その年、打率も本塁打も打点も劇的に向上した。以来、変えていない。「ベースから離れて立つことで投手が遠くに見えるんだ」。それで余裕が生まれた。少年ファンに見せるため、本塁打にはこだわり続ける。「これからも1本でも多く打つ。長嶋さんの記録まで行けたらいいな」。そう言って笑った顔は野球少年のようだった。【矢後洋一】

 ▼中村が中日12回戦(横浜)の2回に山本昌から今季10号を放ち、プロ野球18人目の通算400本塁打を達成した。初本塁打は、近鉄時代の92年6月18日日本ハム15回戦(藤井寺)の河野からで、出場2195試合目での達成は83年衣笠(広島)の2129試合を上回り最も遅いペース。39歳11カ月は、11年山崎(楽天)の42歳9カ月、08年金本(阪神)の40歳1カ月に次いで3番目の年長達成だ。中村は近鉄で307本、オリックスで12本、中日で44本、楽天で15本、DeNAで22本。5球団を渡り歩いての400本塁打達成は初。

 ▼中村のサヨナラ安打は昨年4月15日巨人戦以来で通算16本目。サヨナラ安打の多い選手は(1)清原(オリックス)20本(2)野村(西武)19本(3)中村16本で、15本で並んでいた王(巨人)を抜いて単独3位に進出。今年の5月17日に山崎(中日)が44歳6カ月でサヨナラ安打を放ったが、DeNAでは58年8月3日児玉の39歳5カ月を抜いて39歳11カ月の中村が球団最年長サヨナラ安打となった。