<阪神0-1巨人>◇4日◇甲子園

 巨人の背中が遠のいていく…。和田阪神が勝負の巨人直接対決で痛すぎる連敗を喫した。あと一打が出ず、今季12度目の完封負け。2・5差で迎えた直接対決で差を詰めるはずが、4・5差まで離されてしまった。これで3連敗。前半戦で最大の正念場が訪れた。

 虎党の涙雨か。霧雨の中の粘りもホームは遠かった。1点を追う9回2死、代打桧山が中前打でつないだ。一塁走者の36歳新井貴が激走。一、三塁にした。ボルテージは最高潮。だが、フルカウントから新井良のバットは空を切った。「良太打てよ~」。ヤジがむなしく響く。今季13度目の無得点試合は、延長戦まで含めると甲子園での巨人戦として11年ぶりの0-1敗戦だった。

 スタンドもナインも「G倒」に集中した。この日発売の週刊誌で、和田豊監督(50)の過去の不倫が報じられた。試合前、指揮官は選手を集めて事情説明したという。伝統の一戦の最中にグラウンド外で騒がせ、しっかりと謝罪した。客席からも「主役」へのヤジは飛ばなかった。白球に集中したはずが、湿度96%に負けないモヤモヤ感だけが残った。

 和田監督

 そこ(好機)まではいくというのに…。甲子園で戦うときは紙一重になる。その中で、何が足りないかとなると、ここ2戦(走者を)進めるというところが反省になる。

 虎将は、名残惜しそうに腕組みしたままベンチ裏へ消えた。悔やんだのは8回。無死一塁から代走荒木が盗塁した。送りバントを託した代打俊介は、マシソンの内角高め153キロをバントするもファウル。結局、力のない投ゴロで三塁へ進められず「力不足」と唇をかんだ。今成のバント失敗が響いた2日に続き、勝負どころで痛いミスになった。

 6回1死では一塁走者大和がけん制死した。7回は無死一塁で初球を打った新井貴が遊ゴロ併殺。2死一塁では盗塁を狙って代走田上を送ったものの、新井良も初球打ちで凡退した。チグハグさも目立っての3連敗。「首位攻防戦」だったはずが、宿敵とのゲーム差はリーグ再開後最大の4・5まで広がった。「それまでの何試合かをしっかり戦わないと」。2週間後には再び巨人を甲子園に迎える。泥沼にはまらないためにも、何とか食らい付いていくだけだ。【近間康隆】

 ▼阪神が本拠地甲子園で巨人戦に0-1で敗れたのは、9回に限れば88年6月12日以来、25年ぶり。8回キーオが原に決勝エンタイトル二塁打を打たれ、桑田に完封を許した。延長戦を含めば、02年4月19日に延長10回井川が福井に決勝弾を喫して以来、11年ぶり。本拠地に限らなければ、巨人戦では04年6月19日(東京ドーム)で、延長11回に安藤が後藤に押し出し四球を与え敗れて以来、9年ぶり。阪神の今季0-1敗戦は、5月14日オリックス戦(甲子園)以来5度目。完封負けは今季12度目。無得点試合は同13度目。