<西武1-13日本ハム>◇6日◇西武ドーム

 最下位脱出へ、発車オーライ!

 日本ハム木佐貫洋投手(33)が8回3安打1失点で7勝目を挙げた。1回に連続四球から満塁のピンチを招くも、三ゴロで切り抜けスピードアップ。2回以降はテンポ良く凡退の山を築いた。自身をはじめ飯山、鶴岡らチームの鹿児島出身選手が全員出場。郷土愛あふれる右腕にとって、喜びもひとしお。「これから県人会で祝勝会です」と、鹿児島弁の愛嬌(あいきょう)のあるなまりで喜んだ。

 この夏は、モチベーションの高さがひと味違う。夏の高校野球予選、東東京地区を戦う昭和鉄道高校の存在を知った。球界を代表する鉄道マニアで乗車することをこよなく愛する「乗り鉄」の右腕にとって、聞き捨てならない校名。「すてきな響きですよね」とウットリ。経歴を偽り「昭和鉄道高校OBの木佐貫です」とはしゃぐほど、心は打ち抜かれていた。同校は2回戦で敗れ甲子園出場はならなかったが、木佐貫にとっても忘れられない夏の思い出になった。

 巻き返しに向けて、視界は良好だ。球宴明けから先発陣が総崩れ。この日まで後半戦2勝9敗だったが、先発では木佐貫が初めて勝ち投手になった。栗山監督が「チームとしてうまく機能しない」との悩みの種を「試合を作ってくれたことに感謝」と、勝ち頭が吹き消した。「チームにも良い状況になる。これからもしっかり投げていきたい」。白星を力にエンジン全開。煙を吐き出しながら“鉄”腕が突っ走る。【田中彩友美】