虎の「CSローテ」が固まった。阪神ランディ・メッセンジャー投手(32)のクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ(S)開幕戦(12日、対広島)での先発が決定的であることが6日、明らかになった。相手先発は今季、1勝4敗で防御率0・40に抑えられている前田健が濃厚。今季チーム最多の12勝を挙げ、セ・リーグの最多奪三振タイトルも確定させた右腕が、本拠地甲子園で堂々と迎え撃つ。2戦目は能見、3戦目はルーキー藤浪がスタンバイする方向になった。

 阪神は逃げも隠れもしない。上位チームのプライドもある。天敵の前田健が相手でも、短期決戦の鉄則である「先手必勝」を貫く。エースにはエースを-。注目の12日CS初戦の先発はチームの勝ち頭・メッセンジャーに託す方向だ。安定感は先発陣でNO・1。球団関係者が「メッセは状態もいいし、マエケンというところを苦にせず、やってくれる」と話すように、周囲からの信頼度は抜群だ。

 メッセンジャーは今季、前田健と2度の直接対決で堂々と渡り合った。8月6日にマツダスタジアムで8回まで無失点の投手戦を演じた。9回にサヨナラ負けを喫したが、3安打10奪三振の力投だった。同13日も京セラドーム大阪で8回2失点。2敗しているが、打線の援護さえあれば十分に勝てる投球。内容が高く評価されており、初陣先発に白羽の矢が立った。

 CSのファーストSは最大3試合制。初戦勝利で突破に王手をかけることになり、圧倒的に優位に立つ。中西投手コーチは「(先発起用は)全体的な判断になる。状態、それと相手との相性。向こうは1つ目にマエケンで来るだろう。(前田健が先発した試合で)5つ負けてるわけだから。2、3戦目を取りにいくという考えもあるけどな。1つ目も取りにいかないと」と話す。初戦が厳しい戦いになることも予想され、これまで7月7日にマエケンに投げ勝った藤浪の初戦抜てき案も浮上。相手先発の力が落ちる2、3戦目にメッセンジャーと能見を配し、確実に勝ち星を拾う選択肢もあった。

 そんな状況で最善策を練り、最終的にはオーソドックスにメッセ初戦で落ち着きそうだ。メッセンジャーは9月の月間防御率が1・15。夏場以降も調子を落とさず、2点台の防御率(2・89)をキープした。阪神はCSに過去3度出場し、1勝6敗。初戦をすべて落とし、ファーストS、第1Sは1度も突破できていない。苦手なCSをいかに勝ち抜くか。重い「扉」をこじ開けるべく、メッセンジャーで初戦必勝態勢を整えたと言える。2戦目以降は能見、藤浪の順に準備を進める方向だ。

 ファーストSを勝ち抜けば、巨人とのファイナルS(16日~、東京ドーム)は中4日で2戦目以降に登板可能になる利点もある。登板直前までの体調などで総合的に初戦先発が判断されるが、CSは「メッセのフル回転」が鍵。メッセンジャーは2年契約の最終年でメジャーからの熱視線を浴びる。今オフ退団が濃厚な状況だが、プレーオフも全力を尽くす。さあ、CSウイーク。注目の決戦は、エース対決で幕を開ける。