秋雨が降る外の冷気とは対照的に、“侍ジャパン”の4番を目指す日本ハム中田翔内野手(24)の心は熱く燃えていた。20日、2軍施設のある千葉・鎌ケ谷の室内練習場で、シーズン終了後、初めて特打を敢行した背番号6は、約30分、次々と力強い打球を飛ばした。左手骨折から2カ月。「できる限りの準備はしたいと思っているし、自分のバッティングを見せつけて帰って来たいからね」。傷はすっかり癒え、気持ちは11月に台湾で行われる同代表と新生侍ジャパンとの親善試合へと向いていた。

 4年後の17年ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を見据え、若手中心で編成される予定の今回の侍ジャパン。正式発表前だが、国際舞台を経験した中田は代表入りが濃厚で、今季リーグ2位の28本塁打という実績からも、4番の筆頭候補だ。今月9日から始まった秋季練習では、再転向が決まった三塁守備に重点を置いてメニューをこなしてきたが「シーズン終盤は数試合しか出ていない。1日にバットを振る回数も減っているから」と、代表入りに備えて、前倒しで打撃練習を本格スタートさせた。

 30日から沖縄・国頭で始まる秋季キャンプでは「バッティングをみっちりやりたい」と心構えはバッチリだ。正式に日本代表メンバーに入れば「貪欲に、試合に出てやるという気持ちで行きたい」。故障に泣き、シーズン終盤、思うようにバットを振れずたまった鬱憤(うっぷん)を、国際舞台ですべて晴らすつもりだ。【中島宙恵】