谷繁元信捕手兼任監督(42)率いる新生中日が30日、予定を“前倒し”し実質的な秋季キャンプをスタートさせた。同キャンプは11月1日スタートと発表されたが、この日のナゴヤ球場には谷繁監督、森繁和ヘッドコーチ(58)佐伯貴弘2軍監督兼打撃コーチ(43)がそろい踏み。真っ暗になる午後5時過ぎまで約8時間のハードなメニューが続いた。ひと足早く地獄の秋が始まった。

 事実上のキャンプ初日の練習は約8時間、暗くなるまで続いた。佐伯2軍監督が愛車に乗って引き上げたのは午後5時30分過ぎ。もうヘッドライトがまぶしい“夜”になっていた。球団はこの日、秋季キャンプの日程を発表した。期間は11月1日から24日まで。厳密にはまだ秋季練習だが、張り出されたメニューはキャンプのそれ。これまでとは雰囲気も一変。谷繁監督は「キャンプインは明後日。その準備ですね」と言ったが、張り詰めた空気の中の実質初日だった。

 厳しいメニューに若手選手はフラフラになった。「練習がハードだが?」と聞かれた新監督は「練習すると言いましたよね?

 その通りです。普通にやることをやる、大げさではありません」。多くの選手が常識を変えていく必要があるようだ。

 その象徴が、新任の佐伯2軍監督だ。盟友の谷繁監督でさえ「来るとは思ってなかった。知らなかった」と驚く突然の登場にもかかわらず、ジャージー姿で朝から晩まで熱血指導。異例のスタートを切った。選手として在籍していた11年以来、2年ぶり復帰。吉川には40分間ぶっ通しのロングティーを課し、隣でその気にさせるつぶやきを交える独特の指導。「40分?

 短いですね。あんなんでは終わらせない。ファンの方々が心から応援したいと思えるような熱い男を育てたい」。今後も徹底した練習を課すことを予告した。この秋は「地獄」の形容がふさわしい、選手にとっては長く、辛い日々。1年後の栄光に向け鍛錬の季節となる。【八反誠】