西武涌井秀章投手(27)が今季取得した国内FA権を行使し、ロッテへの移籍が決定的なことが7日、分かった。この日、都内のホテルでFA行使の書類を球団側に提出。「他の球団の話を聞いてみたいです」と行使を正式表明した。「必要としてくれるところが第1の条件」と話したが、出身地の千葉に本拠地を置き、かつての恩師だった伊東監督率いるロッテへの移籍が確実視される。

 最も重要視したのは、「先発投手」としてのこだわりだった。球界屈指のスターターだが、ここ2年は守護神に配置転換。「もともと先発をやってきたので、先発として評価してくれるところがあれば」と話した。ロッテは今季2ケタ勝利の投手がおらず、先発の補強は最優先事項。涌井自身の意向とも合致する。

 向上心が高く、新たな挑戦に胸を高ぶらせるタイプ。五輪、WBCと国際経験も豊富で、10年目を迎える来季、環境を変えて高みを目指すのは、自然な流れだった。今季の年俸は2億2000万円でランクはA。複数年での大型契約を用意するとみられるが、大事なのは条件面ではなく、自身がいかに求められるか。交渉解禁日は15日以降だが、正式オファーを待ち、涌井が決断を下す時が来た。

 ◆涌井秀章(わくい・ひであき)1986年(昭61)6月21日、千葉県松戸市生まれ。横浜高2年春に1学年上の成瀬(現ロッテ)らとセンバツ準V。3年夏は甲子園8強。04年ドラフト1巡目で西武入団。最多勝利2度(07、09年)沢村賞(09年)ゴールデングラブ賞2度(09、10年)。08年北京五輪、09、13年WBC日本代表。185センチ、85キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸2億2000万円。