巨人が、国内フリーエージェント(FA)権行使を表明した西武片岡治大内野手(30)の獲得に向けた調査を本格化することが8日、分かった。原辰徳監督(55)がこの日、東京・東銀座の読売新聞東京本社を訪問。渡辺恒雄会長(87)白石興二郎オーナー(67)らにシーズンの報告を行い、戦力補強を話し合った。日本一奪還へ向け、走攻守にバランスの取れた片岡にまずは白羽の矢を立てた。

 巨人が、FA権の行使を宣言した片岡の獲得を目指す。日本シリーズで楽天に惜敗した直後に、渡辺会長が宣言した「来年以降は連覇だ。あらゆる補強をして勝つ」の方針を、すぐさま実行に移す。

 原監督はこの日、渡辺会長を訪れシーズン報告を行った。会談を終えた原監督は補強について「こっちの要望というものは当然伝える必要はあると思いますが、その部分はお任せするというふうに思ってます。我々が考えるのは、与えられた戦力で、いかに強いチームをつくっていくかということ」と話した。現場とフロントが一枚岩となって、日本一を奪還する。そのための補強第1弾として、西武の「スピードスター」の獲得調査に乗り出した。

 二塁手は、チームにとって積年の強化ポイントである。ポストシーズンで活躍した寺内は、守備力、小技に定評がある。ただ打力については発展途上で、年間通して安定した数字を残せるかは未知数だ。6年目の中井は広角に長打を打てる魅力があるが、今季はブレークした直後に故障。守備、走力も含め、まだまだ伸びしろがあるが、レギュラー獲得には課題がある。ゴールデングラブ賞を獲得した一塁ロペス、三塁村田。不動の遊撃レギュラー坂本。片岡の加入が実現すれば、強固な内野陣が固まる。

 08年の西武との日本シリーズ第7戦の8回。三塁走者の片岡に鮮やかなギャンブルスタートを決められ、日本一をさらわれた。打力も加え、ここ一番で局面を打破できる勝負師の底力こそ、今のチームに最も必要なピースであると踏んでいる。

 争奪戦は必至だ。日本一を譲った楽天が獲得に乗り出すことが確実で、Bクラスからの巻き返しを図る中日も調査を継続しているもよう。西武は、宣言後の残留を認める方針。「自分の評価をシンプルに聞きたかった」と門戸を広げて待つ片岡に、交渉解禁後に堂々とアタックする。