連覇への切り札に、誠意ある熱烈オファーで訴えた。楽天が17日、西武からFA宣言をした片岡治大内野手(30)と、都内で初交渉を行った。約1時間40分にも及ぶ会談。交渉を行った立花球団社長は、感触について「熱い思いは伝えさせていただいた。彼の野球に対する考え方も分かったし、より一層、来てほしくなった」と笑顔で振り返った。

 片岡にとっては人生初のFA交渉。緊張をほぐしたのは、「コーラコーヒー」だった。交渉の席にはコーラとコーヒーが用意され、片岡はコーラを飲んでいた。そこで“事件”が起きた。立花球団社長は、同席していた安部井スカウト部長を見ながら「ウチの者が間違えて、コーラにコーヒーをついでましたが」と明かした。黒で同色のため間違ったという。同球団社長は「そこはちょっと、引っかかりましたね」と苦笑いだったが、堅苦しい場が一気に和んだ。

 そんな中、希望にしっかり応えた。一番こだわる条件について「長く野球をやりたい」と複数年契約を挙げた片岡に対し、3年で総額5億円以上の大型契約を提示したとみられる。アジアシリーズを戦っている星野仙一監督(66)の「将来的に中心選手になる。一緒にプレーしたい」というメッセージも伝え、片岡からは「熱意ある言葉をいただきました」と好感触を得た。巨人、オリックスなども獲得に名乗りを上げる中で先陣を切ってアタックし、熱いラブコールを届けた。【斎藤庸裕】

 ◆FAのランク

 FAで移籍する選手の旧球団での年俸ランクのこと。Aランクは上位1~3位、Bランクは同4~10位、Cランクは同11位以下(外国人選手は除く)。AまたはBランク選手を獲得した球団は、旧球団へ補償が必要。Aランクは年俸の80%か人的補償+年俸の50%、Bランクは年俸の60%か人的補償+年俸の40%。Cランクは人的、金銭補償とも不要。