「ゴジラ超え」を来季に持ち越した。巨人阿部慎之助捕手(34)が今日24日、東京・大手町の球団事務所で契約更改交渉に臨む。下交渉の席上では、松井秀喜氏が持つ球団の日本人最高額となる6億1000万円以上を提示されたが、「その部分は来季への挑戦にしたい」と辞退を申し出た。年俸が変動する2年契約で来季年俸は6億円でサインするとみられる。

 まだ超えるわけにはいかない。阿部は昨オフ、5億7000万円で契約を更改。現役最高年俸の勲章を得た。下交渉の中では、5000万円増の推定6億2000万円を提示されたとみられる。01年オフに松井氏が結んだ、球団史上最高額の6億1000万円を超える最大限の評価だった。しかし阿部は「まだ自分には早いと思ったし、そこへの挑戦も来年のモチベーションにしたい」と辞退。異例の“減俸見直し”を願い出た。

 契約の詳細も阿部らしい内容になる。「1年ごとの勝負がプロの世界」との持論に従う。2年契約の変動制で、毎年の成績によって年俸が増減する契約形態をあえて希望した。「成績が出れば上がるし、出なければ下がる。もちろん、いい成績を出して(給料を)上げてもらえるように頑張る。その気持ちがなくなったら終わりだから」と“単年契約”を日々精進するための戒めとする。

 松井氏への尊敬の念は、年俸だけにとどまらない。今月上旬に米ニューヨークまで出向いて再会。対談が実現した。「何て言ったらいいか分からないけど、とにかくすごい。すごい先輩だとしか言いようがない。松井さんに言ってもらった一言一言が自分の自信にもなるし、励みになった」と、目の前に立つ大きな目標を自身の道しるべとした。

 今季は99試合で4番に座り、本塁打はチーム最多の32本。打率も2割9分6厘で役割を果たした。ただ、日本シリーズで大不振に陥るなど、心から満足するシーズンとはいかなかった。「年俸だけの話じゃないけど、自分が、納得する数字を出してから。そのときに、しっかりと評価してもらえるように頑張る」。10年以上だれも超えられなかったゴジラの高い壁に、阿部が挑む。

 ◆高額年俸メモ

 阿部が6億円で契約更改すると、04、05年の佐々木(横浜=6億5000万円)、02年松井(巨人=6億1000万円)以来、史上3人目の6億円到達となる。外国人選手では03、04年のペタジーニ(巨人)の7億2000万円が史上最高。07年李承■(巨人)の6億5000万円が続く。6億円以上は他に06、07年カブレラ(西武)と07、08年ウッズ(中日、ともに6億円)がいる。※■は火ヘンに華