ヤクルト八木亮祐投手(23)が球団左腕の「出世アイテム」をゲットした。第1子誕生に備えて車を買い替えた村中から、6日にBMWを譲り受けた。単なる中古車と言うなかれ-。「なかなか受け継がれるものではない気がします」と神妙な面持ちで言った。

 それも無理はない。村中の前には、エース石川が乗っていた。この車を愛車とした時期、石川は球界を代表する左腕となり、村中は2ケタ勝利を挙げた。紛れもない「出世車」に、「本当にありがたく乗っています」と喜びをかみしめた。

 愛車を持つのは夢の1つだった。「1軍で定着するまで持たない」と誓ってプロの世界に飛び込んだが、故障に泣かされ続けた。4年目の昨季に、ようやくプロ初登板と初勝利を達成。今季は開幕から1年間、先発ローテを守り抜いた。「成績(5勝13敗)はまだまだダメ」と納得していない。それでも今後の励みとすべく、自家用車を持つことを決めた。

 5年間の電車通勤で、ペーパードライバーのようになってしまった。だが、運転機会を徐々に増やし、今オフは埼玉・戸田の寮から愛知の実家まで慎重に運転して帰省した。「来年の目標は、先発なら2ケタ勝って貢献したい。あとは安全運転です!」。伸び盛りの左腕は、快適なドライビングでチームをV争いに導く覚悟だ。【浜本卓也】