ヤクルトの「ライアン」こと小川泰弘投手(23)が、米スポーツ用品メーカーのウイルソンとアドバイザリー契約を結んだことが12月31日、分かった。小川は大リーグで活躍した名投手ノーラン・ライアン氏(元レンジャーズ)の投法を参考にした独特のフォームから、昨季は新人ながら16勝4敗で最多勝と最高勝率の2冠を達成。セ・リーグ新人王にも選ばれるなど、大ブレークを果たした。2年目のジンクス打破に向け、これ以上ない援軍を得た。

 ライアンが米国老舗ブランドの日本版「顔」になる。野球だけでなくテニス、ゴルフなどでも有名なウイルソンが、小川とアドバイザリー契約を結んだ。契約期間は今日1日から1年間。2年目選手では、同社担当者が「最も早いのではないでしょうか。期待の表れです」と驚くほど異例のスピード契約だ。

 勝負の2年目に備え、慣れ親しんだメーカーから万全のサポート態勢を得た。小川がウイルソンのグラブを初めて手にしたのは大学2年の春。今のライアン投法をものにすべく模索していた同3年時にも、手にしたのは同社製のグラブだった。「少しでも恩を返せればと思い(契約を)決めました。グラブも軽くて投げやすい。僕のことをよく理解して作ってくれる、信頼できるブランドです」と、ライアンの欠かせない相棒となっている。

 今年はシューズを除く全用具の提供を受ける。かつて同社草創期の「顔」だったベーブ・ルース(元ヤンキース)のように、小川モデルのグラブも開発される予定で、日本版カタログなどにもモデルで起用されるという。「期待していただいてうれしい」とさらなる活躍を誓った。

 昨年は独特の投球フォームから白星を量産し、1年目から受賞ラッシュとなった。「注目ルーキーがいる中で新人王も取れた。充実した1年でした」と振り返ったが、笑顔はすぐに消えた。「(14年は)優勝争いの中でしっかり引っ張っていける投手になりたい」。今の自分を築く手助けをしてくれたウイルソンと二人三脚で、さらなる高みを目指していく。

 ◆ウイルソン

 米シカゴに本社があり、1913年に創業。16年に社名を「ウイルソン」にした。23年にはグラブ「ベーブ・ルースモデル605」を発表するなど、多くのスポーツ用品を製造、販売する。日本ではアメアスポーツジャパン(本社・東京)が手がけるブランド。主な野球の契約選手はカーショー、プイグ(ともにドジャース)、日本選手ではレンジャーズとマイナー契約した田中賢やソフトバンク鶴岡らがいる。アメリカンフットボールでは41年からNFLの公式球に採用されている。テニスでは錦織圭がラケットで専属契約し、ゴルフ用品も多くの選手に愛用される。