ソフトバンクは今オフに大型補強を敢行し、FA市場から中田賢一投手(31=前中日)を獲得。先発ローテの一角として期待される中田が、日刊スポーツの新春インタビューに応じた。注目の右腕は「暴れ馬」のスタイル継続を明かし、タカ党に“魅せる”投球を誓った。

 北九州出身。地元福岡に中田が戻ってきた。

 中田

 秋山監督から「お帰り」と言われました。引っ越し業者の方が博多弁を使っていたので「ああ、帰ってきたな」と実感しましたね。移籍先を決めて、まず母に第一に報告したが、すごく喜んでいた。

 大学で急速に力をつけプロ入り。「めちゃくちゃ練習した」と当時を振り返る。自分に負けない強いハートを持っている。

 中田

 地道にコツコツ続けてきたから、今の自分がある。決めたことは絶対にやるタイプ。(中日でも)他の人が先に帰っても、トレーニングコーチに申し訳ないなと思いながらずっと練習をやってました。

 このオフは、大学時代を思い出して当時の走り込みメニューも行うという。

 中田

 「KK8」と呼んでたメニューがある。よく走っていた大学近くの山(鷲峯山)の頂上に観音様がいるんです。まずそこまで走り、その先にある急勾配の243段の階段を8本連続で上がる。観音様の「K」と、階段の「K」ですね。本当に当時はよく走った。僕は人よりふくらはぎが太い。42~43センチある。階段を走った影響もあるのかな。原点回帰の意味で、今回も走るつもりです。

 FAでの移籍だけに、プレッシャーも感じているという。1年目は自らに10勝以上のノルマを課した。

 中田

 まず来年が勝負。勝つために来たのでしっかりと成績を残したい。先発としてできるだけ長い回を投げること。2桁勝たないと意味がない。勝ってる状態で、できれば1人で投げきりたい。いい時と悪い時の差が多少あるピッチャーなので、春のキャンプからしっかり投げ込んで、なくしていきたい。(中日時代は)沖縄で最初からガンガン投げていたが、今年2月の宮崎は最初2週間が寒いと聞いている。そこまで飛ばすことは考えていない。

 中日時代は当時の落合監督からも「暴れ馬」と呼ばれた。多少、制球を乱しても、球威で抑え込んでしまうからだ。制球を意識しすぎて持ち味が半減していたこともあった。

 中田

 基本的には強い真っすぐを投げないと意味がないピッチャーと思っている。どんどん投げ込んでいくスタイルは変えない。真ん中高めでもいいので、勢いのあるボールで、打者を差し込んでいきたい。その上で変化球と制球のバランスをうまくとれれば。重点を制球寄りにしたシーズンもあったが、なかなか結果も出なかった。

 どんどん押す投球は、福岡でも喜ばれるはずだ。

 中田

 ホークスはファンが熱く応援してくれる。すごく力になる。勝つのはもちろんだが、喜んでもらえるように“魅せる”ピッチングをしたい。

 ◆中田賢一(なかた・けんいち)1982年(昭57)5月11日、北九州市生まれ。八幡-北九大を経て04年ドラフト2巡目で中日入団。07年に14勝をマークするなどローテーション投手として活躍。昨シーズン中盤は救援に回り15ホールドを記録。通算186試合61勝51敗、防御率3・57。180センチ、78キロ。右投げ右打ち。