<オープン戦:中日4-2阪神>◇23日◇北谷

 ホントに大丈夫!?

 阪神の新外国人マウロ・ゴメス内野手(29=ナショナルズ3A)が、デビュー戦を「ドタキャン」した。23日のオープン戦中日戦(北谷)に同行したが、試合直前に球場を離れた。和田監督は原因を足の張りと説明し、軽症を強調も、初実戦は3月までずれ込む可能性も出てきた。来日が遅れ、離脱は2度目。虎の命運を握る4番候補がベールを脱がない…。

 注目の的が…いなかった。試合前のシートノック、一塁にいるはずのゴメスが消えていた。球場には来た。確かに、練習もしていた。スタンドのファンが「?」になっていた頃、タテジマの背番号5はタクシーに乗り込んだ。メンバー表にあった「ゴメス」は中日だけ。プレーボールの声を待つことなく初陣予定だった北谷球場を離れていった。

 試合後に和田監督が説明した。「昨日4打席立って、ノックも受けて。足が張っているということなので、無理はさせない」。前日22日、宜野座でのシート打撃に飛び入り参加した。日本デビューを待ちわびるかのように打席に入り、痛烈な右前打も放った。生きた球に対しながら、感覚は取り戻した。万全へ向けた調整が、逆に肩すかしする原因になったようだ。

 この日もやる気満々だった。球場入りしてグラウンドへ飛び出すと、待ち構えていた中日の新外国人ゴメスと抱き合った。同じドミニカ共和国生まれのルナやエルナンデスとも談笑。フリー打撃では左右に打ち分け、走塁練習もした。ところが、開始が近づくにつれてトレーナーとヒソヒソ…。続いて、トレーナーが和田監督と話し込んだ。ハッスルし過ぎて、大事を取る形になってしまった。

 「深刻ではない?」と聞かれた和田監督は「全く」と言い切り、軽症を強調した。ただ、症状よりも眉間にシワが寄る事情がある。「こっちにいる間に1回でも2回でも打席に立たせたいんだけど…」。初めて日本でプレーするゴメスは、多くの打席に立たせて配球の傾向をつかませる方針でいる。沖縄キャンプ中の実戦は明日25日の韓国・LG戦(宜野座)だけ。初の対外試合が、開幕まで1カ月を切った3月にずれ込む可能性も出てきた。

 生まれたばかりの長女の体調不良で、来日は10日まで遅れた。責任感から懸命に挽回しようとハイピッチで仕上げるが、離脱は19日に続いて2度目。ライバル新井が好調な中、4番の本命がなかなかベールを脱がない。和田監督は「検査したけど何もないと。あとは様子を見て。(LG戦は)明日の状態を見て」。打つ前からバタバタなゴメちゃん。きっと何かやってくれる…と信じたい。【近間康隆】<阪神ゴメスの今春キャンプ>

 ◆お待たせ

 2月10日、誕生間もない長女の体調不良で予定より4日遅れて来日。「2日あれば仕上がる」と豪語した。

 ◆ブレなし

 一夜明け11日、室内練習場で始動。40スイングで本塁打級の打球19本。安定感のある打撃フォームを披露。

 ◆愛称

 12日、休日返上で打撃練習。居合わせたドラフト5位山本に、自ら「ゴメちゃんって呼んで」とアピール。

 ◆特大弾

 14日、屋外で初のフリー打撃。42スイングで破壊力抜群の130メートル弾を含む7本の柵越え。17日には和田監督が「もともと実戦で調整していくタイプ。本人もそうしたいと言っている」と、積極的に実戦調整させる方針を明言。

 ◆ダウン

 ランチ特打で88スイング19発を披露した翌19日、体調不良を訴えて練習を回避。宿舎で休養。20日の紅白戦デビューが白紙に。

 ◆飛び入り

 22日、予定になかったシート打撃に参加。初打席、鶴の2球目を右前へ。23日の中日戦に向け「出られたら2打席いきたい」と意欲満々。