<オープン戦:日本ハム0-5中日>◇15日◇札幌ドーム

 ロケットスタートへの秘策が見えた。日本ハムが、開幕から「8人制」の変則の先発ローテーションで臨む可能性が出てきた。先発候補の1人のドラフト2位浦野博司投手(24=セガサミー)が5回4失点も、及第点のパフォーマンスを発揮した。これでほぼ陣容の見極めが完了。確定していた武田勝と木佐貫、吉川、大谷、メンドーサに当落線上だった斎藤と上沢、浦野を含めた構成で、雪辱の1年を船出することになりそうだ。

 迷いが消えた雰囲気だったが、珍しく歯切れが悪かった。栗山英樹監督(52)がモゾモゾと言葉に詰まった。先発候補の浦野の評価、開幕後の起用法について、貝になってしまった。「自分の中でいろいろ感じられるモノがあった。いろいろな中で、いろいろあって、いろいろあります」。少し支離滅裂で意味深な説明の連続だった。今は明かせない、脳裏に描いたウルトラCの予兆のようだった。

 斬新な構想が見えてきた。基本は6人で編成されるローテーションの変則パターン。厚沢投手コーチは、浦野を先発テストする理由について「使う側の引き出しを増やす。先発を8人つくるということ」との狙いを話していた。試合後も「浦野は先発としか見ていない」と今後の活用法を断言。開幕投手の吉川、武田勝と木佐貫のベテランコンビ、二刀流の大谷、好調な斎藤と上沢と駒がそろった。

 得意とする兵法で、開幕ダッシュをかける戦略が透けて見える。登板後に出場選手登録を抹消し、その穴に抹消中の投手を投入するプラン。昨季までも、その出場選手登録の枠の「トリック」を巧妙に使い、ローテを回してきた実績がある。28日の開幕カードのオリックス3連戦、続く3連戦で6投手。その6投手の中から2人を抹消し、3カード目で8人を使い切るという策が可能になった。

 メリット十分の戦いを、開幕から展開できる。二刀流の大谷、浦野と3年目の上沢は1軍の先発ローテは未経験。斎藤は今季、右肩関節唇損傷からの復活を期している。未知数な部分も多いだけに、手駒が潤沢な方が登板間隔の調整、状況に応じた再編もしやすくなる。バラエティーと柔軟性に富む先発「8人制」。登板順などを調整し、ベストの布陣で今季へ突入することになりそうだ。