史上初の快挙へ!

 広島ドラフト1位の大瀬良大地投手(22=九州共立大)が3月31日、先発デビュー予定の明日2日ヤクルト戦(マツダスタジアム)に向けて本拠地で調整した。すでに2位の九里亜蓮投手(22=亜大)が3月29日中日戦でプロ初先発初勝利を挙げた。大瀬良も初先発初勝利なら、同一年での新人2投手初登板勝利は球団初となる。「次は自分の番」と気合十分だ。

 大瀬良はナゴヤドームのロッカールームで勇姿を見届けた。モニターの映像を目に焼きつけた。同期の九里が3月29日中日戦でひと足早くプロ初勝利を記録。宿舎に戻るバスの車中、隣に座る九里に「おめでとう」と声をかけ、決意を新たにした。

 「次は自分の番かな、と。お互い刺激し合いながら勝ち星を積み重ねていけば、お互いのためにもなるし、チームに貢献することにもなる。(九里)亜蓮とはそういう話をしているんです」

 大学2年時の大学日本代表でチームメートになって以来の付き合い。昨年10月のドラフト前日も「お互い1位指名だったらいいね」と連絡を取り合い、熱い思いを共有する仲でもある。昨秋、神宮大会出場がかなわなかった大瀬良は九里に「オマエに託す。日本一を取ってくれ」と電話でエールを送り、九里は実際にエースとして亜大を日本一に導いた。プロ入り後も友人として、ライバルとして競い合うことを誓ってきた。

 中日戦の九里は奪三振ゼロでゴロの山を築き、6回を68球で1失点。仲間の快投を「持ち味を存分に発揮していた」と笑顔で振り返った。「先発ならああいう投球がいいんでしょうね」と理解しながらも、自分の持ち味を捨てるつもりはない。ドラフト直後は本塁打王バレンティンとの対決を熱望していたが、今は1人の打者として冷静に見る。「勝つことが一番。自分のボールを投げたい」。マウンドに上がれば、直球で押していくだけだ。

 マツダスタジアムで調整。登板2日前のブルペン入りにも慣れ、54球で準備を整えた。デビュー戦は両親は兄弟ら総勢30人前後の「応援団」が球場まで駆けつける予定。「元気な姿を見せられたら」。大瀬良大地らしい投球を追求する。【佐井陽介】

 ◆セ・リーグ54年ぶり

 広島はすでに九里が初先発初勝利を挙げており、大瀬良も初先発初勝利を記録すれば、同一年での新人2投手初登板勝利は球団初。球界全体では11年ヤクルトの久古、七條以来となる。新人2投手の初登板初先発勝利に限れば、セ・リーグでは60年巨人堀本、青木以来54年ぶり。