<巨人4-2広島>◇10日◇東京ドーム

 同世代バッテリーの活躍で巨人が単独首位に浮上した。ドラフト1位の小林誠司捕手(24)が攻守に躍動し、スタメンマスク初勝利をつかんだ。本拠地東京ドームで初先発し、菅野と同世代バッテリーを結成。強肩で2度盗塁を阻止し、課題の打撃でも猛打賞と輝きを放った。中5日の菅野とのコンビで7回2/3を2失点にまとめ、4カード連続の勝ち越しに導いた。

 弱肉強食の世界を、誇れる武器で生き抜く。小林が右肩を鋭く回した。1回2死一塁。俊足菊池の二盗に「走ってくると思っていた」と慌てない。低い軌道を描いた送球が二塁ベース上にセットした坂本のグラブに収められた。3回にも白浜の二盗を刺した。もう誰も走ってこなかった。

 走者が出ても、相手を指さし、自分の胸をたたく。「智之(菅野)にランナーだけは任せてくれと伝えた。任せてもらえるのは、その場所だけだから」。リードは序盤は変化球の要求が多く直球が走っていた菅野との呼吸にはズレがあった。許した6安打中5安打は変化球と反省を重ねた。オープン戦では盗塁阻止率5割5分6厘を誇ったが「いい数字なんですか?」と戸惑った。過信の言葉ではなく、アマ時代は盗塁阻止が絶対の領域だっただけに、数字の価値が測れなかった。唯一、自信のある強肩をジェスチャーで菅野に示した。

 課題の打撃でも力強かった。3回無死。篠田の内角直球を鋭く左前へ運び、先制点の起点になった。4回にも左前打、6回には左中間突破の二塁打でプロ初打点寸前だったが、走者の橋本が本塁で刺された。出場機会は少ないが、7打数4安打。試合前にはミートポイントが赤、黄、緑のラスタカラーのマスコットバットを振った。阿部のだ。「村田打撃コーチが『小林のが軽いからあげてやってくれ』と言われてね」(阿部)。大捕手のバットを振った効果が試合で表れた。

 同世代で大学時代に日本代表の僚友でもあった菅野とお立ち台で並んだ。プロ入り後最速の153キロで開幕3連勝の右腕に「まさか同じユニホームを着て、お立ち台に上がるとは夢にも思わなかった。何度も2人で立てるように頑張りたい」と言われ、イケメン捕手ははにかんだ。才能ある若者が、巨人の近未来を明るく照らす。【広重竜太郎】