<日本ハム3-2西武>◇12日◇札幌ドーム

 日本ハム大谷翔平投手(19)が「同窓対決」を制し、今季初勝利を挙げた。西武戦(札幌ドーム)で、花巻東(岩手)の先輩でもある菊池雄星投手(22)と初めて投げ合った。毎回走者を背負う苦しい展開だったが、それでも自己最多の10三振を奪い、5回2/3を6安打1失点にまとめた。

 マウンドに上がるたび、そこに残る先輩の足跡を土で消した。意識しないはずはない。それでも感情を押し殺し、大谷は打者に集中した。「相手の投手は関係ないです。でも(対戦で周囲が盛り上がることは)やる気になる」。花巻東の先輩・西武菊池との投げ合いに勝った。自己最多10奪三振で今季初勝利を挙げた。

 内容には不満ばかりだった。3者凡退は1度もなく、2回には森本に適時三塁打を浴び、先制を許した。6回途中までで自己最多の118球を要し、最後は四球を与えてイニング途中の降板。菊池よりも先に、マウンドを降りた。「いいところがなかった。(ファンを)不安にさせる場面が多かった」と、敗戦投手のように、表情は厳しかった。

 それでも、1失点でしのいだ。頼りになったのはやはり速球だ。プロ入り自己最速タイの157キロをマーク。この日はプレートの踏む位置を一塁側にずらし、打者の内外角に投げ分けた。「プレートが関係しているかはわからないですけど、ストレートで空振りを取れているなというのは感じました」。直球が走るから、フォーク、スライダーも効果的に使えた。

 5年前の春、センバツ準優勝した菊池に憧れを抱き、花巻東に進学した。入れ違いのため、一緒にプレーしたことはない。それでも佐々木監督からはことあるごとに「雄星はこうだったぞ」と比較された。いつも見えない背中を追っていた。昨オフには、地元・岩手で2人そろってイベントに参加。トレーニング法など、興味深く聞いた。

 大谷

 (菊池は)目標にしていますし、何もかも上だなと思う。中3のときも今も。そういうところにいてくれるのは助かるし、僕としてもうれしいです。

 この日の勝利で変わるものではない。憧れの背中を、この先も追いかけ続ける。【本間翼】

 ▼大谷がプロ入り最多の10奪三振。現在、大谷は19歳9カ月。10代投手の2ケタ奪三振は12年8月4日武田(ソフトバンク=19歳4カ月)以来で、日本ハムでは06年6月6日に19歳9カ月のダルビッシュが阪神戦で12三振を奪って以来、8年ぶり。ドラフト制後に入団では森安(4度)ダルビッシュに次いでチーム3人目になる。これで大谷は昨年から無傷の4連勝。日本ハム投手のデビューからの連勝記録には松浦の7連勝があるが、大谷はどこまで伸ばせるか。