<広島8-2阪神>◇17日◇マツダスタジアム

 また静かな夜だった。6連勝した勢いはどこへやら、阪神は広島で2日も停車した。連敗は12日ぶり。ゴメスの初アーチも実らず、メッセンジャーが背信した。首位にゲーム差なしと迫るチャンスはスルリ。淡泊な試合同様、和田豊監督(51)も冷静に現実を見ていた。

 「そこで先制できてたら違ったようになっているかもしれないけど、いつも最初のチャンスをものにできるわけじゃないから。とにかく数多くチャンスをつくること。今まで通りに」

 「そこ」とは1回だ。先頭上本が初球を中前へはじき返した。大和がバント成功。開始から3球で1死二塁とした。しかし頼みの鳥谷とゴメスは5球で凡退。直後に先制されると、2回も1死二塁で福留と藤井が封じられた。前日と同じように序盤の得点機に1本が出なかったが、指揮官は理想への「たら」「れば」を断ち切った。

 ライバル5球団との対戦を終えた。敵の強さを肌で感じ、ここから本当の戦いが待つ。上位を争うであろう広島には両外国人に痛打された。3試合でエルドレッドに2発浴び、キラは8打数5安打。当面の課題と修正点ははっきりした。

 「キラは状態悪いと聞いていたけど火を付けてしまった感がある。1回りしたし、戦力を把握できたので、また新たな気持ちで甲子園でやっていきます」

 貯金は2つ。打線が下火になれば投手陣が踏ん張る。能見、榎田、岩田のサウスポートリオに甲子園で期待する。【近間康隆】