<阪神8-7ヤクルト>◇20日◇甲子園

 阪神が新外国人マウロ・ゴメス内野手(29)の来日最多5打点の活躍で、本拠地連勝を8に伸ばした。2点を追う5回1死満塁で逆転の3点適時二塁打。ゴメスは虎助っ人最長タイとなる開幕から21試合連続出塁もマーク。頼れる新4番に引っ張られ、チームは今季最多の貯金5だ。

 二塁ベースに立つと、ゴメスは分厚い胸板をさらに強く張った。第2ボタンまで開けて黒いアンダーシャツが見えるユニホームは、はち切れそうだった。4番の働きを見せたのは2点を追う5回1死満塁。ボールが2球、先行した。迷いはない。3球目シュートを強振すると豪快に左中間を割る。走者一掃の逆転適時二塁打で一気に3点を刻み、自身初の決勝打になった。「積極的になれるカウント。いつものように来た球を捉えることだけ考えていたよ。本塁打ではなかったけど、二塁打で走者をかえせて、とても満足だね」と充実感を漂わせた。

 開幕から21試合連続出塁。阪神外国人では最長の89年フィルダーに並んだ。6回も2点適時二塁打をマークし、来日最多の1試合5打点だ。支えているのは、クレバーな頭脳。和田監督が「1回振っても、2回目は振らない。それが大きい」と頼もしそうにうなずいた。対応力の確かさを裏づけるように、第3、第4打席に快音を残した。ゴメスも「球に目が慣れてくるんだよ」。最終盤に勝負強さを発揮する特長は、チームの最大の武器だろう。

 来日当初は箸の使い方にも苦労したが、今では使いこなし、好物のラーメンもすする。すし店に入れば、マグロの赤身を気に入った。日本の食文化にもなじむなど、生活面での対応力も抜群だ。

 8回2死二塁で打席に入ると後ろにマートンが控えるのに歩かされた。敵が力量を認めた瞬間だった。はだけたユニホームについて問われると「閉めると、ちょっと苦しい。開ける方が動きやすくて心地いい。夏はもう1つ開けようか」と冗談を飛ばす。4月でこの爆発力だ。夏になればどうなるのか。さらなる期待を抱かせる助っ人が、チームに8年ぶり甲子園8連勝をもたらした。【酒井俊作】