<ヤクルト1-4阪神>◇4日◇神宮
苦しいときの神様打や!
阪神が関本賢太郎内野手(35)の代打決勝打で連敗ストップ。5月初勝利を挙げ、2位に再浮上した。選手会長、上本博紀内野手(27)が右手親指骨折で戦線離脱。苦境で頼れるベテランが、広島とともに両リーグ20勝一番乗りとなる白星を運んできた。
プロ18年目の経験が凝縮されていた。同点の7回1死二塁。目の前で代打新井が二飛を打ち上げ、悔しがっている。勝負に向かう関本は覚悟を固めた。「2人で1点を取らないといけない監督の考えだから、何が何でも、という気持ちでいた」。まさに勝敗の分かれ目に立っていた。迷いはない。新外国人ナーブソンの初球を狙う。甘いチェンジアップを打ち砕くと、中堅上田の頭上を越えていく。
「やったことがない相手なので、どんどんいかないと。初対戦の投手はどんどんいくのが鉄則。初球をファウルにならず良かった」
苦戦していた助っ人左腕から、値千金の勝ち越し適時二塁打を刻んだ。4月23日中日戦(ナゴヤドーム)以来、11日ぶりの打席だったが、打撃の感覚は悪くない。今年は打撃動作を変更したが、開幕から1カ月たって、まだ修正していないという。「何回かシーズン中にいろいろ変えるんだけど。迷いがないのかな」。打席ではシンプルに初球から狙い、今季初の長打だ。
チームにとって、試練の1戦だった。西岡の負傷離脱後、1番二塁で活躍していた上本が前日3日に右手親指を骨折して、グラウンドから消えた。試合前練習で大和が二塁守備を始めるシーンは非常事態を物語っていたが、前選手会長の関本が引導を渡し首位広島と並んで両リーグで20勝一番乗り。5月初勝利で2位再浮上。和田監督も胸をなでおろした。
「シーズンで第1回の踏ん張りどころだと思っていた。(関本は)打席に立つのも間が空いたが、ずっとそういうポジションでやっている。大したものだ」
2月春季キャンプは若手中心の安芸からスタートしたが、若虎にプロの背中を示した。午前8時ごろ、球場に向かうタクシーに乗るのは、日高とともに、いつもチームで最初だった。2軍関係者も「セキたちが、若い子に、いい見本になってくれた。いてくれて良かった」と感謝した。準備にも心を尽くし、グラウンドに立つ。だから、勝負どころでひるまないのだろう。
ヒーローインタビューは鶴に譲った。関本も「辞退した」と笑う。スポットライトは当たらなくても、勝負強い35歳の存在感は際立っていた。ベテランが元気なチームは、やはり強いのだ。【酒井俊作】
◆新代打の神様
関本は4月5日ヤクルト戦(神宮)で今季初安打初打点を挙げた。2点を追う9回2死一、二塁で代打登場。カーペンターの150キロ直球をとらえ、中前適時打を放った。同13日巨人戦(甲子園)では延長10回2死満塁で代打として打席へ。山口の初球の直球を左前に運び、チームを5連勝、2位浮上へと導くサヨナラ打。山口とは過去2年間の8打席で無安打5三振と相性が悪かったが、負のデータを覆す自身6度目のサヨナラ打。「必死のパッチで打席に入りました」と執念を実らせ、虎党を熱狂させた。今季の得点圏成績は5打数3安打(打率6割)3打点。



