<オリックス2-1ロッテ>◇5日◇京セラドーム大阪

 出遅れの左腕がヒーローに変身した。今季初登板のオリックス松葉貴大投手(23)が、6回途中まで1失点に抑え、初勝利を挙げた。毎回走者を許す苦しい展開だったがチェンジアップを効果的に使い、緩急をつけた。投球に粘りが出て、試合を作った。

 「ファームでシーズンが始まって1カ月。いろんなことを学んだ」。課題の制球を安定させるため、ワインドアップから走者のいない状況でもセットポジションを採用。「うまくハマった。制球を乱すことがなくなった」。

 1月の自主トレで自動車事故に巻き込まれ、14年は波乱の幕開けだった。開幕ローテーション入りを目指したがオープン戦でアピールが届かず、2軍スタート。「チームは4月に勝っていたが必ずチャンスは回ってくると思った。出遅れたが、最低限の仕事はできた」。

 昨年のプロ初先発も5月1日ロッテ戦。我慢の季節とも言える春を乗り越えて大きくなった。この日、イベントで来場したウルトラセブンとともにお立ち台に上がった。「小さい時は見ていた。自分だけいい思いをさせてもらって申し訳ない」。変身メガネのウルトラアイを装着。4連敗中のチームを「松葉隊員」が救った。【田口真一郎】

 ▼オリックスのパ・リーグ20勝一番乗りは、89年5月24日に日本ハム戦で勝って到達(11敗1分け)して以来、25年ぶり。阪急からの球団買収1年目で、門田、ブーマー、石嶺らが打線をけん引していた。また32試合目の到達も89年以来の速さ。2リーグ分立後のチーム最速は、阪急時代78年前期の26試合目(6敗)。