<西武3-4巨人>◇21日◇西武ドーム
これが男の仕事だ。巨人村田修一内野手(33)が、走者一掃の逆転適時打を放ち、チームを交流戦連勝スタートに導いた。2点を追う9回2死満塁、二塁手と右翼の間に飛球を打ち上げ、ボールがこぼれる間に、一気に3点を奪った。前日20日の西武戦で18打席連続無安打のトンネルを抜けると、3安打3打点の活躍。開幕4番を務めた男が、反攻ののろしを上げた。
速球に差し込まれた鈍い打球音に何度も心が折れそうになった。だがこの日のつぶれるような音は、久々に村田を喜びで包んでくれた。2点を追う9回2死満塁。西武増田の速球を振り切ると、打球は詰まりながらフラフラッと二塁手と右翼手の間へ。「いい所に飛んでくれたと思った。『頼む』と祈った」。背走した二塁手浅村のグラブからボールがこぼれた。「いい当たりを打っても捕られていたのに、ライト前で3打点」。豪打を誇る男が、どん詰まりの走者一掃の逆転打というギャップに照れた。
バットから快音が消えていた。4月を打率2割8分台に収めたが、5月に入ると急降下。前日20日の西武戦で安打が生まれるまで18打席連続無安打に、はまった。16日の広島戦後には珍しく「話すことなんて何もない」と言葉に怒気を込めた。東京ドームの通路にはエレベーターを蹴るような、破壊音が鳴り響いた。
「どうして、この時期になると打てないんですかね。不思議です」。昨年も5、6月は大不振に陥った。手をこまねいているばかりではない。スイング始動時のグリップ位置を、翌17日の広島戦から高い位置に変えた。だが今カードからは再び、昨年7、8月の月間MVPを生んだ下段の構えに戻した。「バットが(投手側へ)寝てしまうと、差し込まれることが多くなる。(昨夏に)似せようと思った」。試行錯誤しながら、絶好調期に立ち返った。
「当たりが出てくるのは、明るいこと」と話した原監督は「ペシ~ン!」と道具を片付けていた村田の尻を快音を響かせて、たたいた。少し驚いた村田は尻をさすりながら、うれしそうだった。「これをきっかけに勢いに乗りたい」。今度はバットの快音で、完全復調を証明する。【広重竜太郎】



