<オリックス6-7阪神>◇21日◇京セラドーム大阪
相手は12球団最強のオリックス投手陣。6回で3点ビハインドはちょっとあきらめかけるところですが…。どや、阪神新井貴浩内野手(37)のひと振りや。強力ブルペンの一角、比嘉から1点を返してなおも2死一塁でとっておきの代打。初球をフルスイングして左翼に同点2ランをたたき込んだ。博多のソフトバンク戦を終えれば交流戦の舞台は甲子園に。指名打者新井がスタメンに名を連ねるはずだ。
口を真一文字に結んでダイヤモンド1周する姿に生きざまが現れていた。打席に入れば黙ってひと振りに魂を注ぐだけだ。劣勢をはね返したのは新井だった。
3点ビハインドの6回、1点をかえし、2死一塁。2点差。代打で登場し、役割を心得ていた。比嘉の初球だ。外角スライダーを強振するとグングン伸びて左中間スタンドへ。起死回生の同点2ランを放った。
手のひらの感触は最高だった。「もう、いったと思った。いつも言っているけど、積極的になっていかないと。後追いになって気づいたら終わっているより、自分が反応できる球が来たら反応しようという気持ちだよ」と明かす。今年からチーム事情もあって不慣れな代打を任されるが、特殊なポジションの難しさも理解する。追い込まれれば、重圧も増す。だからこそ、早いカウントから積極的に仕掛ける。今季放った6安打はすべて3球目までに仕留めたもの。この日も鮮やかな初球攻撃が光った。
開幕カードの3月30日巨人戦以来、1カ月半ぶりの2号アーチで、試合を振り出しに戻した。和田監督も「新井の1発が大きかった。3ランを食らって一気に3点取られて、すぐに追いついたので」とねぎらう。本塁打の威力は抜群。12球団1のオリックス強力リリーフ陣に立ち向かうチームの覇気をかき立てる一撃だった。
交流戦に入り打線のキーマンに浮上する。プロ15年間で279本塁打を重ねたスラッガーは指名打者の筆頭候補に挙がり、25日ロッテ戦から始まるホームゲームで先発起用される可能性が高い。上本が戦線復帰し、得点力も戻ってきた。1発のある新井の存在は、一筋縄でいかないパ・リーグ相手には頼もしく映る。シーソーゲームで、勝負師の存在感が際立っていた。【酒井俊作】



