<ソフトバンク4-11ヤクルト>◇5月31日◇ヤフオクドーム

 ヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手(29)が「新相棒」で復調の兆しをつかんだ。1回1死一、三塁で、中田の直球を左翼席にライナーで運んだ。「みんながつないでくれたので生かしたかった。いい感触だった」と自画自賛の17号3ランで勢いに乗ると、3回の第3打席には18号ソロ。5月29日に広島エルドレッドに譲った本塁打キングの座を早々と奪い返した。「広いこの球場で連続本塁打は信じられないね」と笑顔で振り返った。

 2本の本塁打は、違うバットから生まれた。1本目は2週間前に入手した、楽天ジョーンズや中日ルナも使うという「マルッチ社」製のバット。2本目はこれまでに使用した「オールドヒッコリー社」のものだった。昨季に60本塁打を放ったにもかかわらず、今季は「少しでも良くなるかもしれないから」とSSK、アディダスなど、いろいろなバットを手元に置いている。その中で、長さは同じ86センチだが重さは30グラム軽いマルッチ社のものを最初に手にした。「ふと持ってみたんだ」。直感で選んだバットで5試合ぶりの1発を決め、「久しぶりに納得できる完璧な本塁打だった」と感触を思い出した。そして本来のバットでもアーチを描き「最高の感触だったよ」と自信から確信に変えた。

 主砲の2本塁打を皮切りに、好調の打線は18安打11得点で快勝した。小川監督は「バレンティンの本塁打が大きかった。甘い球を逃さず打った。彼もチームも乗っていける」と喜んだ。バレ砲のお目覚めで、ヤクルト打線はさらに脅威となる。【浜本卓也】