<日本ハム10-2広島>◇3日◇札幌ドーム

 やっぱり「カープ男子」だ。日本ハム中田翔内野手(25)が3回、5月7日ソフトバンク戦以来19試合ぶり、80打席ぶりの本塁打となる10号3ランを放った。5回には2点適時二塁打を放ち、自己最多タイとなる1試合5打点。相性の良い広島戦で、今季2度目の猛打賞、39打点としリーグ単独トップに躍り出た。

 ついに目覚めた。中田が復活アーチを描いた。3回2死一、二塁。初球を左中間スタンドへ運んだ。「みなさん、お待たせいたしました」。4年連続2桁本塁打となる決勝10号3ラン。「本当に久々。気持ちよかった」。5回は左越えに2点適時二塁打。6回は中前打で今季2度目の猛打賞。19試合ぶりの1発で、悩みは吹っ飛んだ。

 長いトンネルを抜ける、確信めいた打席があった。1日阪神戦の最終9回。「こないだの、オ……なんだっけ。あの人との対戦でね」。マウンド上は相手の守護神、呉昇桓。名前もうろ覚えなほど、苦悩していた中で転機が訪れた。韓国を代表するストッパーとの真っ向勝負。全7球中6球が150キロを超える直球。ストライクゾーンはすべて強振した。最後は真ん中高めの151キロにバットは空を切った。不思議な充実感があった。

 中田

 久しぶりにオレらしいスイングができた。オレの場合、三振でもいいんよ。率を残す打者じゃないんだから。

 吹っ切れた。本塁打が出なかった18試合、中途半端なスイングで内野ゴロも多かった。苦心する中での豪快な空振り三振が、心のモヤモヤを振り払った。

 広島で過ごした少年時代は「カープ男子」だった。あこがれていた地元球団との対戦は好相性。この日の3安打で通算52打数17安打とし打率は3割を超えた。「まぐれだと思う。でも、気合が入る」。本塁打は6本目。交流戦ではカード別で最多だ。自己最多タイの5打点を稼いで39打点とし、リーグトップに浮上した。栗山監督は「自分の打つことの意味を感じたと思う。それでいい」とうなずいた。中田も再確認した。「球場の雰囲気を変えられるのは、やっぱり1発」。不動の4番が、本来の自分を取り戻した。【木下大輔】

 ▼中田が19試合、80打席ぶりに本塁打。中田の本塁打ブランクは、11年6月18日の9号から7月26日の10号にあった23試合96打席が最長。今回の18試合79打席は、試合数では2番目タイ、打席数では3番目に長く、いずれも11年以来3年ぶり。4番に定着した12年以降では最長となる。