<阪神0-4楽天>◇21日◇甲子園

 阪神上本博紀内野手(27)が「あわや」の1日を過ごした。鮮血がにじむタテジマのユニホームが苦闘を物語る。アクシデントが起こったのは試合前練習中だ。ノックを受けた際、右手親指に球が直撃。爪を負傷しテーピングを施して練習を再開した。心配する和田監督と話し込むなど一時は騒然とした。

 そんな上本を試すかのような試合展開だった。何度も二塁にゴロが飛ぶ。3点差に広がった4回1死。嶋の一、二塁間へのゴロを巧みなグラブさばきで捕り、体をくるりと回転させて送球した。「何ともない。血が出たくらいで何ともないです」。3回には中前打を放つなど、フル出場し軽傷をアピールした。

 もう、チャンスを手放すわけにはいかない。西岡の代役で二塁レギュラーを手中に収めたが、5月3日ヤクルト戦(神宮)の守備中にライナーが右手親指を直撃して骨折し、戦線離脱。それでも復帰後に地位を確立した。いまや西岡が1軍に戻っても、二塁は安泰な情勢だ。故障すれば、すべてが元に戻る。和田監督は「出ている限り問題ない。今日、フルで出ているわけだから、明日、出られないことは、よほどのことがない限りない」と説明。ポジションを守るため、必死だった。【酒井俊作】