<日本ハム2-3楽天>◇29日◇札幌ドーム

 日本ハム大谷翔平投手(19)の“不敗神話”が途切れた。1点を追う6回、投手部門で6月の月間MVPを争う楽天則本から、一時は同点となる3号ソロを放つも競り負けた。ルーキーイヤーの昨季から、本塁打を放った全5試合は全勝中だったが初黒星。野手としては10代最後の出場となることが濃厚だった試合は悔しい幕切れ。試合後に球団から発表された栗山監督の来季続投に、仕切り直しを誓った。

 勝利をたぐり寄せる放物線になるはずだった。6回1死。則本のスライダーを、ありあまるパワーで右中間スタンドへ運んだ。同点3号ソロ。昨季、122試合目で記録した本数に、今季は70試合目で到達。進化を証明するアーチも、結果だけ足りなかった。「勝てれば、良かったですけど…」。通算6本目にして、初めてチームが黒星。野手として続けてきた“不敗神話”が、止まった。

 自身初の栄誉に向けては、貴重な1発だった。則本は投手部門の6月の月間MVPを争うライバル。「あんまり気にしていなかった」と無関心も、残したインパクトは大きい。「野手・大谷」が「投手・大谷」を援護。投打の二刀流をやっているからこその構図だ。同点で迎えた8回の第4打席も狙っていた。「もう1度、長打でチャンスをつくりたかった」。体のバランスを崩すほどのフルスイングも空振り三振。とどめは刺せなかった。

 7月5日に20歳になる。投手として同2日西武戦(西武ドーム)で先発予定。この日が10代最後の野手での出場となることが濃厚だった。節目で悔しさを残した試合後、栗山監督が来季終了まで契約延長することが発表された。入団時から一貫して二刀流を後押しし続けてくれている恩師が、来季も指揮を執る。「まず、今年。しっかりと、このあと、やっていければと思います」。特大アーチで勝って祝砲とはならなかったが、勝負の秋へ気持ちを新たにした。【木下大輔】