<巨人4-3中日>◇4日◇東京ドーム
巨人坂本勇人内野手(25)が、「巨人軍の今」を偉大な先輩に示した。球団創設80周年の記念事業の一環として、試合前セレモニーに城之内邦雄氏ら歴代のOB、故・沢村栄治氏の長女ら家族が集結。伝統の重みをひしひしと感じながらの一戦で、先制の2点適時打を含む2安打3打点の活躍で輝きを放った。
偉大な先輩に「巨人軍の今」を映し出したのは、坂本だった。先制の2点適時打を含む2安打3打点。歴史の重みを感じながら、打席に立ち、高ぶる感情を結果に表現した。「ここという、いい場面で打てて良かった」。打ったのは2度の好機だった。チーム、ファンが期待する中、決めるのは巨人軍の看板を背負う若武者の使命だった。
80年の歴史の中に、新たな“個性”を刻みこんだ。6回1死二塁、中日大野のクロスファイアをコマのように回って、左翼和田の頭上を越えた。放物線を目で追った谷繁が目を見開き、驚きを表した一打。「自画自賛じゃないですが、難しい球をうまく打てた」。1本足打法の王貞治氏ら、強烈な個性が歴史を彩るが、坂本の技術もまた、匹敵するものだった。
研さんを重ね、磨き上げた技術だった。右投げ右打ちながら左利き。右利きの右打者より左手の使い方がスムーズかつ、スイングスピードの速さが根底にあるが、心の迷いが良さを消しかけた。「内角が打てないんです」。昨オフ、同郷の先輩のアスレチックス中島に打ち明けた。「来るボールを思い切り振ったらええねん」。先輩の笑顔に「ですね」と返し、持ち味を思い起こした。
伝説の日に、決まって背番号「6」の笑顔が花を添える。08年のプロ1号は、長嶋氏の偉業を振り返る「永久欠番シリーズ」最終日。同氏のユニホームがベンチに飾られる中、球団初の10代での満塁弾を放った。2年目の春季キャンプで体を触られ「オーラがすごかった」と感激。この日もミスターの放ったゴロを捕って「すごいし、感動した」。どしっと根を張る大木の枝には「坂本勇人」が花となって、きれいに咲き誇った。【久保賢吾】



