<DeNA2-3阪神>◇4日◇静岡

 いくらファウルで粘られても、地方のメッセンジャーはびくともしない!

 阪神ランディ・メッセンジャー投手(32)は、必勝を期した静岡・草薙のマウンドで7回までに142球。先に暴投と3連打で2点を失い、その後も攻め込まれながら踏ん張った。6月15日西武戦以来、3戦ぶりの6勝目。地方球場では通算4戦で3勝負けなしと、天下布武の勢いだ。

 123球を投げてなお向かった同点7回のマウンドだ。メッセンジャーの最後の粘りだった。先頭桑原に四球。黒羽根の投前バントが手につかず、失策で無死一、二塁としてしまう。一打勝ち越しの場面。ここで井納にはバント失敗を誘い、梶谷を空振り三振。山崎は三ゴロに打ち取った。7回を2失点。6安打で3四球を出してファウル48球。142球を投じても、舌をぺろりと出した。

 「自分に対してイライラしていたところはあったんだけど、まだスタミナは残っていて余力もあったからね。よかったよ」

 粘投、いや“怪投”で、19日ぶりの6勝目を手にした。ピンチを背負うたび、大きな体に似合わない妙に小さいグラブが揺れた。「オレの体がでかいから小さく見えるだけだろ?」と笑うが、これが粘れた一因になった。右投手にとって左腕は右腕と同じくらい重要だ。一般的に速球派は反動をつけるために大きめのグラブを好むが、メッセの一品は内野手用グラブをベースにした小さなもの。より素手に近く、スムーズなフォームを助ける。見た目は妙でも頼れる相棒というわけだ。

 地方の女神も味方だった。これで地方球場は4戦3勝無敗。昨季から今季にかけてビジターでなかなか勝てなかったデータとは裏腹に、こちらも妙な結果だ。前日3日には静岡駅前のラーメン店で食事を済ませ、ルーティンはいつも通りにこなしたはず。「そうなのか?

 分からないよ。自分でも知りたい。そしたらもっと他でも勝てるからね」と本人も首をかしげた。

 自慢の直球が何度も粘られ、暴投で先制点を献上。7番桑原には3打席で29球を要した。いつ緊張の糸が切れてもおかしくない状況で粘って勝った。「試合をたくさんやってるチームなのに、前に飛ばないというか。自分も負けないように粘らないといけないと思ったよ」とメッセンジャーも最後まで、ふに落ちない様子。不思議だらけでも勝てばよし。チームを貯金生活に導いた大男は、胸を張って静岡を去った。【池本泰尚】

 ▼メッセンジャーが来日通算45勝目を挙げ、セ・リーグ外国人では5位タイ、阪神の外国人ではキーオと並んで2位タイとなった。