日本ハム大谷翔平投手(20)が晴れ舞台で、聖地に立つ。監督推薦で2年連続、投手で初選出されたマツダオールスターゲーム2014(18日・西武ドーム、19日・甲子園)で2戦目での登板が決定的なことが7日、分かった。今季登板で自己最速タイ160キロをマークし、高校球児時代も含めて思い入れある縁深い球場。躍動の好条件が整い、球速の記録更新など期待十分で、開場90周年の甲子園の節目を飾る主役になる。

 運命に導かれるかのような夏祭りになる。大谷が、9年ぶり開催の甲子園の球宴を彩ることになった。日本球界の新スターにふさわしく、今季で開場90周年の聖地のマウンドに上る。チームトップの7勝を挙げ、堂々と二刀流の足場を固めた今季。昨季は外野手だったが、投手として初めて選出された舞台は19日の2戦目が確実なことが判明した。全パの指揮を執る楽天星野監督が内部調整をして最終決定するが、方向性は固まっている。

 期せずして、大役が巡ってきた。前半戦の残りの登板予定は2試合。明日9日楽天戦(コボスタ宮城)から、登板間隔は中6日で16日西武戦(旭川)で先発して球宴へ突入する。ともに屋外球場で順調に試合を消化することが条件だが、第1戦なら中1日の強行日程。コンディション面を考慮され、負担の少ない中2日で第2戦へと回るという流れになる。

 野球を愛する若年層、またオールドファンも胸躍る好材料がそろった。大谷は6月18日阪神戦で甲子園初登板。8回1安打、11三振の快投を披露した。花巻東時代は2度出場して未勝利だった思い出の地で、今季4試合でマークしている自己最速160キロもたたき出した実績を持つ。「しっかり自分の持ち味を出せればいい」と謙虚に臨む姿勢だが、心身ともに解放できる環境が整うことになった。

 05年にクルーン(横浜)が甲子園で161キロをマーク。プロ野球で初めて大台を超えた。大谷にとって160キロ投手の「原点」ともいえるパワースポット。まだ見ぬ161キロ以上、クルーンが極めた聖域へ踏み込む挑戦権を得る。同期の盟友・阪神藤浪も選出。一気に眠る能力が、さらに爆発する要素になりそうだ。

 大谷はこの日、千葉から今日8日からの楽天戦に備えて仙台に入った。七夕にささげる願いは「優勝だけ」と1つ、強く誓った。大逆襲を誓うペナント後半戦へと弾みをつけるためにも、球宴で主役を張りにいく。

 ◆球宴の主な球速

 クルーンが160キロ以上を計5球投げている。横浜時代の06年第2戦(宮崎)で160キロを2球。巨人時代の08年第2戦(横浜)では161キロを3球マークした。日本人の投手では94年伊良部(ロッテ)03年五十嵐(ヤクルト)昨年の大谷が157キロを出した。