<ヤクルト5-4中日>◇8日◇神宮
歯を食いしばり、全力で走った。ヤクルト山田哲人内野手(21)は3-4の7回2死一塁で、平凡な遊ゴロを内野安打に変えた。今季10度目の猛打賞で流れをつくり、比屋根の逆転打につなげた。1回には中日吉見から先頭打者弾、5回にはこの日2本目となる12号ソロ。「1試合2本はびっくり。(内野安打は)アウトやなと思ったけど全力で走った。良かったです」と喜んだ。
昨季は99安打だった男が、これで101安打とした。ヤクルトでは青木以来となる200安打達成の可能性も出てきた。交流戦首位打者に輝くなど台頭著しい21歳の、何が変わったのか。試合前の山田に潜入した。
まずは「技」。ソフトバンク内川やロイヤルズ青木を指導した杉村打撃コーチと「10種類のティー打撃」を試合前に行いスイング軌道を整えている。毎試合、相手投手が繰り出す直球や変化球でスイングが崩されるが、その状態のまま次戦の打撃練習をせず、ティー打撃で軌道を元に戻してから打撃ケージに入る。山田は「練習から納得いくスイングができるようになった。杉村さんのティーは大きい」と効果を口にした。
そして「心」。ティー打撃後、真中打撃コーチはスイングを最終チェックしながら「どんどんいこう」「思い切ってやればいいんだよ」と声を掛ける。現役時代に1番を経験しているだけに「1番は重圧がかかる。それをかけないように。思い切って行けばいいんだから」と迷いを取り払う。だからこそ「見るタイプ」を自任する山田が、状況に応じて早いカウントからフルスイングできるようになり、今季4本の先頭打者弾を生んでいる。
覚醒の気配を見せる山田だが「とにかく安打を打って生還するのが僕の仕事。前半戦の残りも果たせるようにしたい」と締めた。「技と心」の入念なケアを怠らず、ヤクルトを上昇気流に乗せる。【浜本卓也】



