<阪神3-1広島>◇8日◇甲子園

 阪神がビッグルーキーの聖地メモリアル弾で、今季最長に並ぶ6連勝や。4回、梅野隆太郎捕手(23)が本拠地甲子園初アーチとなる今季5号をぶちかました。大学時代から切磋琢磨(せっさたくま)した広島大瀬良撃ちの一撃。こりゃ梅ちゃんの新人王猛進に、虎の7月大反攻に、期待してもいいんちゃいますか?

 さあ、2位広島と1差だ。

 蒸し暑さをルーキーが爽快に吹き飛ばした。4回。阪神梅野の打球は左中間スタンドに着弾した。過去7人しかいない虎新人5発目は、メモリアル弾だ。ついに本拠地甲子園で初アーチ。聖地に集まっていた虎党も、この瞬間を待っていた。スタンドインの瞬間、大歓声に包まれた。

 「このホーム球場でいつ打てるのかと思いながらやっていた。いい争い、いい流れで1本出たというのが価値がある」

 自身45試合目。虎の新人甲子園弾は、04年鳥谷以来10年ぶり。捕手に限れば、69年田淵以来の45年ぶりだ。快挙で彩られた聖地初のお立ち台で声を上げた。

 「ビジターで打つよりもホーム(大勢の)前で今日打てて最高です!」。

 相手は広島ルーキー大瀬良だった。5月1日の初対決から、この日の第1打席まで3打席、すべて三振を喫していた。「ずっと三振でやられていた。相手も成長している中で、僕も研究しながら打っていかないといけない。1球で仕留められたのはうれしい」。迎えた4回の第2打席。カウント1-0からの2球目、147キロの直球をフルスイングした。

 大瀬良撃ちは運命か。同じ1991年6月17日生まれ。これまでの野球人生でも交差していた相手からの記念弾だった。ともに大学2年で大学日本代表に初選出され、11年、13年に世界と戦った仲間。大学4年春のオープン戦では、大瀬良から本塁打を記録。福岡大の梅野はリーグこそ違うが、同じ福岡で九州共立大エースだった大瀬良と成長してきた。

 「大学の時から一緒で、プロではなかなか打てなくて、やりかえせてよかった」

 ドラフト会議後は、一緒に食事を楽しんだ仲。ただ、プロでは新人王を争うライバルでもあり、ペナントを見据えてもコイを支える右腕を打ち崩した意味は、とてつもなく大きい。チームはこれで6連勝。40勝到達で、約1カ月ぶりの貯金4。2位広島は、もう目の前だ。

 「これだけたくさん甲子園にきてくれています。絶対カープを追い抜くので。ありがとうございました!」。6連勝の始まりは、梅野が2打席連発を放った1日ヤクルト戦。新人王へ、大反撃へ。梅ちゃんのバットが、虎党の夢をかなえていく。【宮崎えり子】

 ▼梅野が甲子園初本塁打。甲子園での阪神新人の本塁打は鳥谷が04年5月27日、横浜東から放って以来、10年ぶり。捕手では69年田淵以来、45年ぶり2人目。田淵の甲子園1号は69年4月13日、大洋戦の6回池田から。1年目の田淵の本塁打は22本で、そのうち甲子園でのアーチは12本だった。

 ▼阪神の新人王は55年西村、69年田淵、80年岡田、92年久慈、94年藪、01年赤星、07年上園の7人。今季梅野が受賞すると7年ぶり8人目。捕手では田淵以来、45年ぶり2人目となる。

 ▼阪神が今季2度目の6連勝。4月9日DeNA戦(甲子園)から同15日広島戦(マツダスタジアム)以来。和田阪神では4度目の6連勝。今日勝てば08年7月以来の7連勝。