<阪神3-1広島>◇8日◇甲子園

 阪神マウロ・ゴメス内野手(29)が巨体を揺らして走りだした。1-1と同点に追いつかれた直後の3回2死、左前打で出塁すると続くマートンへの5球目だった。だれもが予想していなかった体重104キロの疾走に球場がどよめいた。タイミングは微妙だったが、巧みなスライディングでタッチをかいくぐり、二塁ベースへ滑り込んだ。

 来日初盗塁でチャンスを広げると、これに応えるように一、二塁から福留が中前に運んだ。今度は二塁から疾走したゴメスは、してやったりの表情でホームイン。その激走にベンチは大盛り上がり。スタンドからは拍手が降り注いだ。

 「作戦のことなんで、監督に聞いて下さい。そんなに大したことじゃない。福留さんがかえしてくれたから効果的な盗塁になった」

 試合後、ゴメスは多くを語らなかったが、山脇一塁ベースコーチは称賛した。

 「(相手一塁手が)下がってくれたからな。ゴメスは走塁うまいもん」

 相手一塁手が早めにベースを離れ、バッテリーの警戒も緩めだったことを見逃さなかった。チームの姿勢と、ゴメスの走塁技術がマッチした好プレーだった。

 バットでも初回、3回とヒットを飛ばしてマルチ安打。前日7日に妻と、生まれたばかりの長女が来日した。この日、自宅でテレビ観戦している家族に、父親としての勇姿を届けた。

 「落ち着くことができるし、自宅に家族がいるというのは大きいよ」

 野球に打ち込める環境が整ったことで、さらなる活躍が期待できそうだ。【鈴木忠平】