<阪神3-1広島>◇8日◇甲子園
もう疑う者はいないだろう。阪神岩田稔投手(30)は湿度80%、気温28度のじめじめに苦しみながらも、仁王立ちした。1回にいきなり二塁打を浴びるなど立ち上がりこそ苦しんだが、低めを丁寧について無失点。攻撃の際は首に氷嚢(ひょうのう)を当て、水分を普段より多めにとった。5回以降は完全に取り戻し、無安打無失点。7回4安打1失点(自責はゼロ)でチームトップタイの6勝目を挙げた。
岩田
最初はむちゃくちゃしんどかった。気候にやられてました。5回に入ったくらいから急にすっきりして、これはいける、と。この時期はしょうがないですね。台風も来てますし。
負の要素が加わっても、いつもの岩田だった。そこには強さがある。ここまでの結果には「間違ったことをしていなかった」と思うのみ。慢心などなく、精悍(せいかん)な顔つきのまま、再びミットを目指すだけだった。どっしり据わった下半身にはキレが加わり、ボールの勢いは最後まで落ちることはなかった。
「ラーメンのスープは全部飲まない、遠征での焼き肉は1回」。栄養士の資格を持つ夫人からはそんなルールも提案された。もともと筋肉質で太りやすい体質という。好物を抑えるのも、すべてはベストパフォーマンスを発揮するためだった。引退覚悟で臨むシーズン。「体重も変わってないです」とベスト体重をキープ。支えられ、結果で応える強さがある。
加えてトレーニングも効果を発揮した。「強いボールを投げる」ことにこだわる。捕手に突き刺さるようなボールだ。普段の練習から筋肉が硬くならないように、反復横跳びなど、敏しょう性のメニューも取り入れる。試合中のキャッチボールでも、体重の乗りを確認。強いボールが変化球と交じり合い凡打を誘った。
岩田
真っすぐが全体的によかった。5回以降特に。次は最初から低めに集められるようにしたいです。
岩田が導き、9連戦で最高のスタートを切った。規定投球回数には7回2/3足らないが、防御率1・95は、リーグトップの巨人菅野(同2・10)を上回る安定感だ。「中継ぎを休ませたかった」と殊勲者は遠慮がちだが、活躍は文句なし。もう頼れる男と言って間違いないだろう。【池本泰尚】



