<阪神6-5広島>◇9日◇甲子園
痛快アーチショーの風雲ゴメス城で、甲子園は熱湯風呂だ。阪神4番マウロ・ゴメス内野手(29)が3戦ぶり15号ソロで解禁した新パフォーマンス「コマネチ!」を本拠地初披露!
5番マット・マートン外野手(32)とビートを刻む初のアベック弾も決めた。みんなで渡れば怖くない。この4番凶暴につき、冗談じゃないHANABI大会だよ~。
高々と上がった打球を、ゴメスは歩きながら見つめた。それが左翼スタンドに弾んだのを確認すると、バットを放り投げ、胸を張ってダイヤモンドを走り抜けた。
「うまく打てて、打った瞬間(スタンドまで)行ったと思える当たりだった。気持ちよかったよ」
1点を勝ち越した直後の3回2死だった。広島九里の132キロフォークをジャストミートした。5日DeNA戦以来、3試合ぶりの15号ソロ。ベンチ前では今成と両手、お尻を合わせた後に「コマネチ!」を1発。ゴメスは「コカンセツ」と呼ぶ新パフォーマンスを甲子園で初公開した。息の合った歓喜の儀式を、本拠地ファンはカメラを持ちながら笑顔で見守った。
ファンが喜ぶ高い打球には、実は苦い思い出がある。3月28日の開幕巨人戦(東京ドーム)。1回、一塁のゴメスに、坂本の高いファウルフライが飛んだ。右往左往するゴメスの横に、打球はポトリ。チーム関係者までもが「あれは捕ってくれよ…と思った。屋根どうこうじゃない。周りはどうしようもない」とあきれる凡プレーだった。味方ファンからも冷やかしの声を浴び、ひざまずいた日本でのスタート。それでもゴメスは屈辱スタートの開幕戦から27試合連続出塁をマークし、自らのバットで信頼を勝ち取った。
絶好調の春先がうそのように、月間打率は5月が2割2分5厘、6月が2割8分6厘と低迷した。それが7月に入り3割8分5厘。7戦で3発とアーチペースも上がってきた。「状態はいい。ボールはよく見えているし、開幕のときに近い感じだね。結果が出るとリラックスするから」と開幕時の勢いを重ね合わせるまでになった。この日の豪快弾の後には6回に6点目の右前適時打。開幕ダッシュを思い出したゴメスを、止める相手は見あたらない。
「これは間違いなく渡すよ」とヒーロー賞のトラッキー人形は、7日に来日した最愛の家族へプレゼントする。あのときとは違った滞空時間の長い1本が、2度目のゴメス・フィーバーを予感させる。【松本航】



