<巨人5-12阪神>◇11日◇東京ドーム

 巨人は、勝負どころで敷いた大胆な守備陣形が結果的に裏目に出て、阪神に8連勝を許した。先発大竹がゴメス、マートンの連続適時打でKOされ、さらに6回1死二、三塁。打者今成の場面だった。原辰徳監督(55)がベンチを飛び出し、外野手もマウンドに呼び寄せた。身ぶりを交えて指示を出すと、この回から左翼に回った亀井が、一、二塁間に入りかけた。代打西岡が起用され、亀井は左翼に戻ったが、2-2から再び動いた。

 寺内がグラブを持って現れた。交代…、ではない。三遊間で亀井にグラブを渡した。内野手5人、長野を右中間に、松本哲を左中間に配した。原監督は「見ての通り。勝負にいった」と簡潔に振り返った。川相ヘッドは「監督と以前から話していた。西岡は追い込まれてから、打球を巻き込むイメージがあったし、データもあった」と説明した。

 ファウルを挟み6球目。2番手青木はインローで引っ掛けさせようとした。コースがやや甘かった。打球は中堅定位置へ。2者が生還し大勢は決まった。青木は「コースを攻めきれなかった」。阿部は「ゴロを打たせるボールを選択したけど…。こういうこともやる、という監督の意志は伝わっている。今度はしっかりゴロに仕留めたい」と話した。

 試合状況に応じて積極的にシフトを敷く。5月10日の阪神戦では、プルヒッターのゴメスに対し、内野陣を極端に三遊間へと寄せるシフトが的中した。原監督は「新しいものを勉強しなくちゃ。結果が裏に出たとする。チャレンジを嘆く必要は、まったくない」と話す。首位をひた走る中で手を試し、戦術の幅を広げる狙いが垣間見えた。

 シフトを敷けばフィールド上に空間が生じ、その分、リスクが生じる。ベンチにはリスクを背負う勇気が、投手にはシフトを遂行する技術が求められる。今後訪れるであろう修羅場への教訓とする。【宮下敬至】