<巨人5-12阪神>◇11日◇東京ドーム

 1発や、2発ではこの男をマウンドから引きずり下ろすことはできない。阪神ランディ・メッセンジャー投手(32)が東京ドームのマウンドに仁王立ちだ。5点リードの7回、長野にバックスクリーンへたたき込まれた。だが、顔色ひとつ変えない。阿部、松本哲にシングルを浴びても微動だにしない。代打の切り札矢野をカーブで三振、後続も断った。

 「この球場での勝利は意識していたよ。きょうも2球、本塁打にされているし少し間違えばもっていかれる。ただ、びびっていたら野球にならないんで、強い気持ちで向かっていった」

 7回までに8安打を浴びて3失点。来日1年目の10年8月以来、4年ぶりの東京ドームでの勝利をこう振り返った。同一シーズンで巨人から3連勝した虎助っ投は90年キーオ以来。また1つ勲章が加わった。

 開幕から中5日で投げ続けている。この日で18試合、127回1/3を投げた。ともにリーグ最多だ。年間に換算すれば240イニング以上を投げるペースだ。7勝7敗、貯金はできていない。それでも、カード頭で相手エースと投げ合い、ゲームをつくり続ける。まさにエースの仕事だ。大事な巨人戦の頭を任されて、次は中4日で前半戦最後となる16日の中日戦へまわる。猛虎の戦いはこの男を軸に進んでいく。【鈴木忠平】

 ▼メッセンジャーは今季巨人戦で3連勝。阪神の外国人投手が同一年に巨人戦3勝は01年カーライル3勝以来13年ぶりだが、同一年3連勝となると64、67年バッキー、88、90年キーオ(いずれも3連勝)以来24年ぶり3人目、5度目。またメッセンジャーは来日通算46勝となり、阪神外国人ではキーオを超え単独2位、セ・リーグ外国人ではガルベス(巨人)と並び4位となった。