<オールスターゲーム:全パ0-7全セ>◇第1戦◇18日◇西武ドーム

 エース広島前田健太投手(26)が史上6人目となる球宴3勝目を挙げた。3年連続4度目の夢舞台で第1戦に先発。3回を2安打無失点と好投した。2回をパーフェクトで終え、3回も続投。2安打と四球で2死満塁のピンチを背負うも、糸井を中飛に打ち取り、貫禄を見せつけた。

 「先発なので、なんとか無失点で終われてよかった。真っすぐだけでいこうかと思ったけど、変化球も交えて抑えにいった」

 球宴には縁がある。今日19日は早穂夫人の誕生日。毎年球宴の時期と重なるという。「賞を取れれば、いいプレゼントになる。取りあえず結果がよくてよかったです」と、獲得した敢闘選手賞は支えてくれる伴侶に贈った。3勝を挙げたのは、山田久志氏(7勝)江夏豊氏(5勝)らいずれも名投手のみの過去5人だけ。球界のエースと呼ばれる男に、新たな勲章が加わった。

 赤い旋風のアシストもあった。3回の攻撃で菊池、エルドレッドが適時打を放つなど、3点先制の援護を受けた。「打てば勝ち投手の権利がつくし、なんとかしてほしいとキク(菊池)と丸には言っていた」と期待通りの活躍にニンマリ。バックには共に序盤の快進撃を支えた5選手がいた。仲間と戦う球宴に「僕としては安心する感じがある」と心強い存在だった。

 すでに将来的なメジャー挑戦を公言しており、最後の球宴登板となる可能性もあるが「それは分からない」と苦笑いを浮かべた。前半戦はハーラートップタイの9勝を挙げ、躍進する広島の原動力になった。それでも交流戦でのつまずきもあり、3位でターン。「切り替えて、首位奪還というか、優勝したいと思います」。後半戦も旋風を起こし、悲願へ導く。エースは最後まで頼もしかった。【池本泰尚】

 ▼前田が10年<1>戦、12年<2>戦に次いで球宴通算3勝目。球宴の最多勝は山田(阪急)の7勝で、3勝は4位タイ。セ・リーグで3勝以上は、阪神と広島で5勝の江夏、国鉄で3勝の金田に次いで3人目。前田はすべて先発で記録しており、先発で3勝以上は山田4勝、江夏4勝に次いで3人目になる。前田はまだ黒星がなく、球宴で無傷の3連勝は、通算7勝0敗の山田に次いで2人目となり、セ・リーグ投手では初めてだ。