<ソフトバンク3-2オリックス>◇27日◇ヤフオクドーム

 昨年6月に国指定の難病・黄色靱帯(じんたい)骨化症の手術を受けたソフトバンク大隣憲司投手(29)が422日ぶりの白星をつかんだ。復帰2戦目、初先発のオリックス戦で7回を3安打1失点。この病気からの復帰勝利は史上初。

 黄色靱帯骨化症の手術から“復帰1号”で、近鉄、オリックスでプレーした宮本大輔さん(32)も大隣の勝利を祝福した。「明るい話ですね。社会人や若い人も同じ病気で悩む方もいる。ここまでになれるというのは励みになります」。99年ドラフト1位で近鉄入り。150キロを超える直球を武器に活躍した。しかしオリックスでの06年春季キャンプ中に左足の違和感を覚え、病気が判明した。

 手術は大隣より多い3カ所。術後は寝返りさえ打てない。「肩肘は症例がありますが、リハビリもこれで本当にいいのか分からなかった」。当時1軍復帰した人はなし。育成契約で前途の見えない闘いを続けた。「最初はピッチングで戸惑いました。体が違うので別ものと考えて作り直しました」。08年に支配下登録され、中継ぎで4年ぶりに復活。この年の2試合が最後の1軍で、09年に現役を退いた。

 現在は大阪市内でリンパ線マッサージに整体を独自に組み合わせたボディメイクと呼ぶ仕事に携わる。「病気になって多くの方にケアをしてもらった。いろんな治療を探し求めたこともあって」。苦しい病気と闘った経験から体づくりを手助けする仕事についた。大隣の投げる姿をテレビ、新聞で見つめ、宮本さんは第2の人生をしっかり歩んでいる。