<広島1-3中日>◇29日◇マツダスタジアム

 延長神話、ついにストップ…。広島は同点の延長10回表にセットアッパー中田廉投手(24)が勝ち越し2ランを浴び、今季9試合8勝1分けだった延長戦で初黒星を喫した。先発野村は7回1失点と好投したが、攻撃陣は積極走塁が裏目に出た影響もあり、拙攻となった。まだ首位巨人とは3ゲーム差、2位阪神との0・5ゲーム差は変わらない。切り替えて1戦必勝じゃ!

 無情にも白球は左翼フェンスを簡単に越えていった。1階席頭上の看板に跳ね返って左翼芝生に転がるボールを、中田はぼうぜんと見つめるしかなかった。同点で迎えた10回表1死二塁、137キロシュートが真ん中に入った。伏兵の6番松井佑に勝ち越しの左越え2ランを献上。「毎回使っていただいて、同じことの繰り返し。僕が痛いというレベルじゃない。みんなが痛いと思っている。僕の実力不足です」。悔しさを表情ににじませ、責任を背負った。

 序盤の拙攻が響いた。1点を追う2回1死二、三塁で無得点。3回も攻めたてながら、二塁走者となった菊池と丸がショートバウンドで三塁を狙い、2人とも三塁で憤死。積極走塁が裏目に出て、試合を振り出しに戻せなかった。先発野村が7回1失点と好投し、投手陣は3回以降の7イニングを無安打投球。6回には3番丸の同点弾が飛び出したが、7回2死満塁で勝ち越せず。今季8勝1分けと無敗だった延長戦で、ついに初黒星を喫した。

 野村監督は走塁ミスを責めることはなかった。「ミーティングでも変化球やフォークが多いし、ワンバウンドになれば狙えと言われていたと思う。紙一重だし、状況状況で反省してくれればいい。あれがなくなると、彼らの良さがなくなっちゃう。走塁ミスもあったけど、打てなかった」。攻める姿勢を評価し、冷静に前を向いた。

 前半戦フル回転を続けていた中田は2戦連続失点となり、ここ10試合登板のうち5試合で失点。それでも指揮官は「入れ替えはない。またやってくれると思う」と巻き返しに期待。中田は「悔しい悔しいと言っていてもどうしようもない。結果を出して取り返さないといけない」と言葉に力を込めた。首位巨人に3ゲーム差、2位阪神に0・5ゲーム差の立ち位置は変わらず。ここが踏ん張りどころ。下を向いている暇はない。【佐井陽介】